第8話 『Udon Haitatu』

 食堂に戻り昼食を受け取る。


「また戻ってきなよトオル。その時は腕を振るってうまい食事を出してやるよ」

「ああ、必ずもどって来る」


 俺はロンロ村を後にした。

 目標はコルタナ教の集落だ。


 俺は『地図アプリ』を確認しながら歩く。

 もちろん音楽をかけて『絶対領域』も発動中である。


 コルタナの集落は遠い。

 赤い点は見当たらない。

 『天気アプリ』で確認したが、雨の降る確率はゼロであった。

 それがまだ救いであった。


 これならコルタナ教の集落まで歩いていけるだろうと思っていたが、見積もりが甘かったようだ。

 木陰で女将の特製サンドイッチを口にしながら、『地図アプリ』を確認している。


「目的地にはまだまだだな。このペースで今日中に着くのは難しいな。野宿はいやだな。」


 野宿で寝るのはからだが痛くなる。

 というか野宿する道具は一切持ってきてない。

 とはいうものの、ロンロ村からコルタナ教集落への馬車などはなかったので、徒歩での移動しか無かったもの事実である。


 夜になってしまった。

 歩き疲れたが、お腹も減ってしまった。

 お昼だけ準備していたので夕食に食べるものは何もなかった。

 おれは閃く。


 どこにでも食べ物を届けてくれる『Udon Haitatu』の存在があった。

 早速おれはアプリをインストールし、注文を開始した。

 有名どころはどこでも注文可能なようだった。

 しかも30分以内には配達可能らしい。


「ここはスタンダードな店のハンバーガーとコーラを頼もう」


 待つこと30分。

 気が付いたら配達員さんが目の前に立っていた。自転車に乗っていた。

 動揺した感じもない。


「ご注文の商品です」

「えっと、君はおどろいていないみたいだが、ここって見慣れない風景だと思わない?」

「あ、最近そういうの多いです。10件に1件くらいはこんな感じの、日本じゃない所に配達しています」

「そういうものが、とりあえずありがとう」


 知らない知識が増えてしまった。

 とりあえずチップをはずんでおいた。

 支払いも『万能マネー』で完了したようだった。

 残金が少しだけ減っていた。


 俺はハンバーガーとコーラを堪能した。

 一息付いたが、からだが疲れているのには変わらない。

 もう歩きたくなかった。


 そういえば、『Udon Haitatu』って配車サービスもしてなかったっけ。

 WEBで調べてみるとどうやら『Udon Taxi』という別アプリがあるようだ。

 早速インストールして、タクシーを呼んだ。


 待つこと3分、見慣れたタクシーが目の前に現れた。

 どこから来たんだ。そう思いつつ、後部座席に座った。


「最近はこんな場所に呼ばれることも多いですか」

「そうだね。めったにないけど、異世界を走っているね。これで3回目くらいかな。ここはまだ走りやすくていいね。最近はもっと、へき地に呼ばれることもあって、走りにくい所を走ることも多いよ」


 やはり、タクシーも同じように異世界での仕事もあるようだった。

 コルタナ教の集落まで運んでもらった。

 便利すぎる。

 移動は全てタクシーを呼ぼう。

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