第6話 コルタナ教
ベットの上でうとうとしていると、いつものline通話の音楽が流れた。
からだがビクっとする。
急なlineは勘弁してほしいのだが。
急じゃないlineとははなんだろう。
チャットでline通話出来るか確認してからのline通話だろうか。
それはそれで一手間かかり面倒だな。
「はーい女神シリちゃんだよ。今日一日はどうだったかな」
通話に出て開口一番そう言われた。
「いつからキャラを変えたんだ。どうだったもなにも今日はずっと見ていたんだろ。特に話すことなんてないよ」
「もー。こういうのは本人の口から聞きたいじゃない」
俺は今日一日を振り返って女神に伝えた。
「そうですね。ネルネコさんをシリ教に勧誘出来たら100点満点だったのですが、まあ、恩を売れたので良しとしますか」
ネルネコと出会えたのは良かった。
今はお礼の金貨1000枚だけを受け取った仲だが、たぶん色々な情報や商品を扱っているにちがいない。
いつかそっち方面のツテが必要になった時に活躍してくれるにちがいない。
「ちなみに、透さん。近くにコルタナ教の集落がありますが、コルタナ教はもう全滅寸前なのです。だからシリ教に引き入れて下さい」
「コルタナ教? 何で全滅寸前なんだ」
「コルタナ教は一番後発の宗教なのですが、生まれたときから信者が増えず、今は女神コルタナもやるきを無くして、一部の熱狂的な信者だけが残っている状態なのです」
「お前、俺に狂信者の説得をしろと言ってないか」
「お前って言わない。私はシリよ。そうですね。狂信者は言いすぎですが、残ったのは熱狂的な信者なので説得は難しいと思います」
「シリは、自分で言ってて矛盾には気づいてるよな」
「でも一度でいいから、コルタナ教の集落へは行ってみて下さい」
「大丈夫か。いきなり行って、いけにえとかにされないか」
「そんな物騒な宗教はありません。あくまで3宗教で平和裏に信者を取り合っているだけです」
「話を聞く限り、シリ教もコルタナ教も壊滅寸前じゃないか。あと残りの宗教の一人勝ち状態じゃないか」
「それを言われると悲しいですが、正しいです。ですが、シリ教はまだ私があきらめていません。そして透さんもいます」
「話は変わるが、どうやって信者を増やすんだい?」
「それは… 透さんが地道に布教活動をして下されれば」
「思いの外、気長というかのんきだな。シリ教壊滅の危機じゃないのか」
「確かにそうですが、信者が減ったのも、時代の流れなのかなと」
割とシリは達観しているように見えた。女神は女神なりに悩んできたのだろう。
「それはそうと、信者を増やすにしても莫大なお金があると便利だと思わないか。簡単に増やす方法はないか」
『ググれカス』と言われると思ったが、シリは真面目に答えてくれた。
「この異世界は、元の世界より景色の良い所が多いですよ。写メを撮って周るなんてどうですか。この世界は写真の技術はまだ発達していないので、それを売って回れば、ひと財産作れますよ」
「ということは、写真を出力することも可能という事か」
「はっ、今日はしゃべりすぎましたね。それではこの辺で」
そうしてシリとのline通話は切れてしまった。
このスマホには印刷機能もあるのか。どう使うんだろう。
しかし今日は疲れてしまった。印刷機能のことは明日以降でもいいだろう。そのままベットの上で眠りに落ちた。
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