第4話 ロンロ村へ
馬車に乗って2人で移動する。盗賊3人はその場に縛ったまま放置してきた。運が良ければ助かるだろう。
どうやらネルネコもロンロ村へ行商しに行く途中だったらしい。せっかくなので乗せてもらっている。
「ここはバスティア帝国の辺境にある地域で、国境付近なのですが、隣国とは友好状
態なので安全です。そのため我々のような行商人が隣国から商品を運べるのです」
俺はここら辺の地理に疎いというと、ネルネコが説明をしてくれた。
「そうは言うが、さっきは盗賊に襲われたじゃないか」
ネルネコは苦笑いをした。
「どんなに安全でも、ああいう輩はいますよ。今回は運が悪かったのでしょう。少数だったでしょ。たぶん、食えなくなった村人が盗賊になったんじゃないでしょうか。この辺で山賊をしても、もうけが少なくて、結局食っていけないですよ」
「そういうものなのか。それでも組織化されてらまずいんじゃないか」
「大丈夫ですよ。盗賊なんて組織化して、巨大化したら行商に影響出ますから、みんなでお金を出し合って傭兵を雇って盗賊狩りをして終わりです。そうやって街道の安全は守られていますよ」
「なるほど。平和な世界なんだな。そういえば、魔物はいるのかい」
ネルネコの表情が真剣になる。
「街道を移動する限り、魔物に遭遇することはまずありません。盗賊に会うより可能性は低いと思います。しかし、森の中はいけません。森は魔物のすみかです」
「魔物は危険なのか」
「これも一概に危険だとは言えませんが」
表情をゆるめてロンロは続けた。
「弱い魔物なら、人間の手でも狩ることができます。魔物の肉はおいしいですからね。弱い魔物は狩の対象になります。われわれ行商人としてもありがたいのです。魔物の素材はよい商品になります」
魔物か。どうやら弱いのから強いのまで色々いるらしい。
それなら俺が狩るものありじゃないかな。
しかし、森の中から出てこない魔物を積極的に狩るのもどうかなと思ってしまう。
「おっと、そろそろロンロ村に到着しますね。これは全財産の1割りです。トオルさんにお渡しします。」
「いや、お金なんてもらえないよ」
「そう言わずに。こちらとしては命の恩人ですからね。恩を返さないと気が済みません。」
そういえば、異世界の通貨は持ち合わせていない。
何をするにもお金は必要だからな。
ここは遠慮せずに受け取っておこう。
「ありがとう。そういうことならありがたく頂戴するよ」
そうして俺は袋いっぱいの金貨をもらった。これは多すぎるのではないだろうか。
「ネルネコ、これは多すぎるのでは?」
「いえいえ、これでも少ないくらいです。ですがあいにく、硬貨はあまり持ち合わせていなくて」
まあ、くれるというならもらっておくか。
「それではトオルさん。またお会いしましょう」
そう言うとネルネコは村の中に入っていった。
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