第7話 研究所
「2人ともオーストラリアに着いたよ」
「私来るの初めて」
「俺も来たことはない」
来たことがある森下は除いてほかの2人は物珍しそうにきょろきょろしながらオーストラリアの空港を出た。
「森下。意外とオーストラリアも日本と変わらない街並みなんだね」
陽葵はオーストラリアにせっかく来たのに代り映えしない景色にすこし残念そう。
「まあシェルターは全部世界連合が管理してるから差はないよ」
そしていつも通り冷静に予定を把握しようとしている網野。
「今日泊まるのはどこなんだ?」
「今日は早期覚醒について研究しているところの近くを取っておいたよ。その施設に行くのは明日になってるから今日はここの観光でもしていこうか」
3人は日本とあまり変わらないつくりのシェルターを巡った。
「ところどころ変わっているところもあるけど、ほとんど変わらないね」
陽葵からのクレームに森下は苦笑している。
「まあこれはメインじゃないから許して。もう時間も遅いしホテルに行こうか」
3人は森下が予約した高級ホテルに向かった。
「、、、森下、もしかしてここに泊まるの?」
「そうだよ。立地がよかったから」
「ちょっと緊張してきた」
「なんで?」
「こんな高級感があるところに来るのは初めてなんだもん」
「立地が良かっただけでここに泊まるなんてすごいな」
もはや網野は何か少しあきれているようだ。
「別にここはそんなに高くないから大丈夫だよ」
森下は慣れた様子でチェックインをした。そしてエレベーターを使って目的の部屋の前まで向かう。
「今日泊まる部屋はここだよ」
森下が案内したのは大きな窓がついていて眺めがとてもいいスイートルーム。
「すごい、めっちゃ広い」
「えーーと兼平は隣の部屋だよ」
「なんでよ」
「いや、、だって、、兼平は女子なんだから普通は違う部屋にすると思うけど」
陽葵は少し不満そう。
「わかるけど、つまんない」
「なら寝る寸前までここで話していたらいいよ」
「そうすればいっか」
「じゃあとりあえず荷物を置いてきて」
「わかった」
陽葵は部屋から出ていった。陽葵が部屋から出ていったことを確認すると2人は声を潜めて話し合う。
「網野、兼平があれって本当なのか?」
「わからない、ただ先生が言うにはそうらしい」
「まあ明日わかるからいいか」
2人は陽葵が返ってくるのを待ってからご飯を食べに行った。
「兼平、起きてるか?」
次の朝、森下と網野はなかなか出てこない陽葵を起こしに来ていた。
「森下どうする?このままだとどうしようもないし鍵を使って開けるか?」
「うーーん本当は良くないとは思うんだけど仕方ないね」
2人がドアを開けて中に入るとベットの上でスヤスヤねている陽葵がいた。それを見て少し苛ついている網野とあきれている森下。
「おーい、兼平朝ご飯を食べに行くぞ」
「ん?今何時?」
いつも通り眠そうな声で聞き返す陽葵。
「今は集合から15分遅れた8時15分だ」
「え?マジで」
そして焦った声で起き上がる。ここまでもう何回も同じことをしている。
「本当だ」
「15分で準備するから待ってて」
「終わったら部屋に来てくれ」
イライラしているオーラを全開で去っていく網野。
陽葵は急いで準備を済ませると隣の部屋にいった。
「2人とも準備終わったよ」
「わかった」
朝食をとるために移動している最中網野からの集中砲火を浴びている陽葵。
「なんで目覚ましをつけてるのに起きられないんだ?」
「だって私朝に弱いんだもん」
「それでも起きれるようにするのが目覚ましだろ」
「それじゃ、起きられないんだって」
どうやら網野はもうあきらめたようだ。投げやりな口調で陽葵に質問を投げかける。
「逆にどうしたら起きられるんだ?」
「人の声が聞こえると起きられる。」
さすがに見かねた森下が陽葵に助け舟を出す。
「まあ今日は長いんだからそこらへんにしといて。今日は研究所に行くんだから」
網野はもう疲れている様子だが陽葵は元気に切り替えたようだ。
「めっちゃ楽しみ」
「それじゃご飯を食べにいこうか」
3人はご飯を食べるとそのまま研究所に向かった。
研究所では所長のイーサン・グエンが出迎えてくれていた。
「森下さん。長旅お疲れ様です」
「イーサン、そういうのはいいって」
森下との親しい様子に戸惑っている陽葵と森下。
「2人ってどういう関係?」
「ここに何回か来たことがあるんだ」
「森下さんには研究の手伝いをしてもらっていたんです。森下さんは異例の能力がありますからね」
網野は疑問というよりも確認といった口調で所長に質問をする。
「能力は発現直前からしかわからないんじゃないんですか?」
「一般的にはそうです。ただここにある設備には早期に能力がわかるものがあるんです。一般に知られていないのはコストが高くて使えないからです」
「そうなんですか」
質問には答えてもらったはずなのに網野は何かを考えているような感じ。
「皆にはこれから施設の見学をしてもらってから能力の測定をしてもらいます。」
そういうとイーサンは3人を連れて施設の中を案内し始める。施設の中には能力について研究しているところや、能力の覚醒に調べているところがあり中には何を調べているのかわからないようなところもあった。
「皆にはここである体験をしてもらいます。まずここに座ってください。そうするとあなたの能力が数値になってあらわされます。森下さんは数値が出ないので、兼平さんからどうぞ」
「わかりました」
陽葵は所長が手で示した椅子に座った。すると椅子は奇妙な音を出して機能を停止してしまう。
「どうなったんですか?」
「、、、こんなことがあるなんて」
所長は言葉を失っているようだ。
「なんか私やらかしました?もしかして機会を壊しちゃったとか、、」
「あなたは第6の能力の持ち主です」
「え?わたしの能力はウィッチですよ」
所長が何を言っているのか陽葵は理解ができていないようだった。
「そうなっているでしょう。ただそれは表向きのものです」
「じゃあ私の能力は何なんですか?」
「あなたの能力はレヴェルです」
相変わらずポカンとしている陽葵。おそらくレヴェルのことが何かわかっていない。
「どういうことですか?」
「あなたはジョーカーと仲良くすることができる」
「、、、でもそんな能力聞いたことありません」
「そりゃそうです。この能力はジョーカーが現れた時にいたといわれている伝説上の能力です」
さらにわからないという表情の陽葵。
「ならなんでわたしがそんなものを持っているんですか?」
「その能力は実在していました。ただその能力を使った事件が起きたんです。それがムンバイシェルター放棄。この事件はシェルター内に大量のジョーカーが侵入したことが原因です。それを率いていたのがレヴェルの能力者でした。このことからレヴェルは危険な能力だと判断されてしまったのです。それのせいでレヴェルの能力者は完全に排除されてしまった」
「なら私が能力を持っているのはおかしくないですか?」
「ありえないことだ。能力を継承する可能性がある人は全員殺されてしまったはずなのに君はまだ生きている」
「もしかして私が新しく能力を作ったとか?」
「それはありえない。能力が新しく作られるのはジョーカーが地球に堕ちた時だけだ。君の能力はレアケース。これからもここに定期的に来てくれ。研究をする」
「わかりました」
所長は陽葵との研究の約束で少し落ち着いたようだ。
「なら次は網野さんが椅子に座ってください」
「わかりました」
網野が椅子に座ると今度は椅子が正常に作動して能力値が出てきた。
「5208、、、ですか」
所長は今度は頭を抱えて悩んでいるようだ。
「どうなんですか?」
「、、、ここまでの高い値は初めて見ました。普通は10前後なんですけど、、、」
悩んでいる所長をよそに陽葵は驚いていた。
「網野すごいじゃん」
「まあ最上位クラスにいたらこのぐらいだろう」
「それでもすごいよ」
「、、、お前のせいで霞んでいるんだよ」
そしてもともと知っていたかのように冷静な森下。
「網野も兼平もすごいじゃん。後3時間後にはオーストラリアを出なきゃいけないから、最後ここを満喫してね」
残りの3時間はあっという間に過ぎてしまった。3人は森下のヘリコプターに乗ってオーストラリアから離れる。疲れていたのか帰りのヘリコプターで陽葵は寝てしまった。幸いこのヘリコプターにはベッドも完備してある。
「網野やっぱり兼平はそうだったな」
「先生が間違っていることはないと思っていたけど信じられない」
「やっぱりあの人の能力は本物なんだ」
「前からわかっていたことじゃないか」
「そうだな」
2人はもう少しで日本につくというところで陽葵を起こした。
あとがき
今回初めて作品を投稿しましたkurarasimonです。なにせ初めて小説を書いているのでどのような終わり方になるのかわかりませんがよろしくお願いします。
ところでこの分の森下と兼平は口調が似ていてわかりにくいですか?
アドバイスがありましたら教えていただけると幸いです。
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