第50話 両手に花 ※ただし混ぜると危険ですのでお取り扱いにはご注意を
「先輩っ、先輩っ、今日天気荒れてましたけど今は大丈夫みたいですよ。ついてますね」
「そうだな……」
「伊賀くん、一緒に帰るの久しぶりだけど楽しいわね」
「そうだな……」
「「って聞いてます(る)?」」
「そうだな……」
「「聞いてないじゃないですかっ(じゃないっ)」」
色々とあり憔悴しきっている俺が何故か勝手に両脇にいて並んで歩いている、新井と市ノ瀬さんに対し適当に返しているとそれに気がつかれてしまう。……でも、今日くらいは許して欲しい。本当に疲れてるんだ。
「い、市ノ瀬先輩が変なことばっかり言うから疲れちゃってるんじゃないですか?」
「はぁ!? アナタこそいつも伊賀くんにまとわりついてるから伊賀くんが疲れちゃうのよっ」
うん、どっちも正しいから喧嘩なんかせずに大人しく帰って欲しいものだ。それに周囲の人からの視線が痛い。
まぁ、新井は街を歩けば10人中9人は振り返るような名の知れた美少女だし、かたや市ノ瀬さんは目立つ銀髪をしたこれまた美少女だ。
そんな2人と一緒にいて目立たない方が無理があるとは思うが……なにせ、俺の両脇にいるものだから俺が目立ちすぎる。
というか主に男性陣から羨望と嫉妬が入り混じったような視線を多々感じるが……実際体験して見てほしい。
地獄以外のなにものでもないからっ。綺麗なものにはなんとやら、だ。
「もう、色々と疲れたんだ。今日はゆっくり帰って寝たいんだよ」
「「じゃあ、荷物持って家まで送っててあげます(るわよ)」」
「そういうことじゃないんだよ」
というか、さっきから思っていたがコイツら息ピッタリすぎない? 実はメチャクチャ相性良かったりしないかと疑ってしまうほどだ。
いや、実際には凄く悪いから俺が困っているわけなんだが。
「まぁ、普段ならこんなこと言わないがぶっちゃけ今日は新井と市ノ瀬さん達のせいで疲れてるからさ……」
「じゃあ、私が先輩を家まで送り届けないとです」
「罪滅ぼしは必要よね」
「日本語って難しいっ!!!」
なんだろうね。これ、なんて言ったらいいんだろうね。というか、この2人を納得させるの不可能な気がしてきたんだが?
「その〜、だからだな。今の俺には新井と市ノ瀬さんを納得させられるような物も気力もないから今日の所は……」
「「いや、それはいいのでとにかく手助けがしたいですっ(のよっ)」」
「あぁ、本当に日本語って難しいっ!!」
いや、新井と市ノ瀬さんが言ってることは間違ってない。間違ってないんだが……俺が思ってる答えとは違う。
こんなことなら、アメリカ人とかに生まれとくんだった。
「つーか、本当に俺の家に着いたんだが流石に……な?」
「「上がらせてもらいます(わよ)」」
うん、そんな気はしてた。してたが流石にここを通してしまうわけにはいかないっ! 伊賀としての威厳をそんな簡単に折るわけには……。
「光太郎様のご友人様でしょうか? どうぞ、お入りなさいませ」
「「お邪魔します」」
「待てぇぇぇぇぇ」
しかし、そんな俺の声も虚しく事情を知らなずたまたま家の外を掃除していた、使用人の天堂さんによって俺の家のドアは開けられてしまうのだっ。
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次回「白菊と少女」
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あと、明日からテスト週間入るので今日みたいに文字数が少ない投稿になるかもです。今日も宿題とか色々あったので。
しばらくご迷惑をおかけするかと思いますが何卒よろしくお願いします。
では!
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