第23話 色々と起こりすぎなのでコマンド「逃げる」を選択っ
「あっ、忘れてた」
静姉は何かを思い出したかのように口に手を当てると次の瞬間には俺の縄の拘束を解いていた。……いや、始めから縛らないで欲しいものだが。
「なんか不満そうな顔だけど最初に攻撃を仕掛けて来たのは光太郎の方だからね」
「ぐっ」
口に出してはいないはずだか俺の表情から何かを読み取ったらしい静姉からそんなことを言われてしまう。
確かに俺が攻撃を仕掛けたがそれは俺が不審人物と判断したからであり、静姉の場合は俺だと分かってたのに縛っていることから完全におふざけもあると思うのだが……。
いかんせ、言っていることは正論なのでなにも言い返せない。正当防衛と返されるのがオチだ。
相変わらず外では性格の悪いっ。いや、家でも面倒は面倒だが種類が違う。
「じゃあね、2年3組の皆さん。授業とかで来るかもだけどよろしく〜」
「「「よろしくお願いします」」」
そして静姉は何事もなかったのかのように(主に男子から絶大な)挨拶を受けながら去っていった。
「お、おーい、
「……微妙なラインだな」
翼からそんな声がかけられ俺はそう返す。あの人相手は体力の消耗が激しいからな。
ボス戦前はセーブでもさせて欲しいところだが突然だったのでどうしようもなかった。
本当に嵐みたいな人だ。そして気づけば俺の昼放課は終わりを迎えていた。はぁ、今日はまともに休憩出来なかったな。
*
「今日、
「予想通り静姉だよ」
ホームルームも終わり生徒達にようやく訪れた自由の時間。
生徒の中には部活に向かう者や友人とどこかへ行く約束をする者などがいる中、翼は真っ先に俺の元へと来ると今日の現れた静姉のことを話し始めた。
「やっぱりかぁ。なんか目とか髪や雰囲気も
「まぁ、それについては否定はしないけど」
そう言えば翼は静姉を実際に見るのは初めてだったなと思い出す。
とんでもない姉ということで俺と仲の良い翼の前に突然現れる可能性も考慮し1年の時の途中から度々話題に上げることはあったが写真とかは見せてないしな。
「あっ、でも血は繋がってないんだっけ?」
「一応、義姉ではあるが普通の姉とさほど違いはない。いや、まぁあの人が同じ人間とは言い切れないけど」
「聞いた話……全部化け物だったもんね」
翼も俺が話したことを思い出したのか少しゲンナリした様子でそう返す。
「あぁ、最近は宇宙人じゃないかと思い始めているんだ。
「冗談に聞こえないのが怖いよ」
俺の冗談に翼は体を震わせる。いや、まぁ実際そうだけどというか思い出したら俺も震えてきたな。
「まぁ、UMAな話はここまでにして____」
「いやぁ、中々に面白い話だったね」
「さ、佐々木先生」
突然、後ろから溢れ出る殺気を感じるのと同時に翼が漏らした佐々木先生というワードに足の震えが止まらなくなる。
「し、静姉?」
「で、誰が宇宙人だって?
俺がゆっくり振り返るとそこにはいつにも増して笑顔の……怖いくらいニコニコな顔をした佐々木先生
ど、どこかに「逃げる」のコマンドとか落ちてないですかー。「防御」とかでもいいんで、とりあえず致命傷だけは避けたいんですけど。
「覚悟しなさいね☆」
「さよなら、
「待てっ、俺の死をそんな簡単に受け入れるなっ」
「だってもう助かるビジョンが浮かばないんだもん」
静姉のあまりの迫力に恐れをなした翼が不穏なことを言ってジリジリと俺との距離を取る。誰かぁぁ、この辺に「イベントスキップ」のボタンとか落ちてませんかぁ。
「人生にスキップなんて便利なものは存在しないのよ」
「ぐぺっ」
「うわぁ」
心の中まで読まれた俺の喉元に一切見えない静姉の手刀が叩き込まれる。短く悲鳴を上げて倒れる俺を見ながら翼はホラー映画でも見たかのような顔をしていた。
*
「先輩っ、遅れてすいません私もっ。って、あれ? 先輩は……」
「
「あっ、翼先輩。ご無沙汰しております」
光太郎にぃの姿が見えずガッカリする私の元に翼先輩が駆け寄ってきた。……とても疲れている気がするのは気のせいだろうか?
「それで、伊賀先輩はなんで今日は翼先輩も置いて……」
「いや、まぁうん。色々あったんだけど……」
「はい?」
翼先輩が目を逸らし手汗をタラタラと流しながらなにかに言い詰まるように頰をかく。
やっぱりなにか変だ。しかし翼先輩は
なにかを決心したかのようにようやく口を開いた。
「お姉さんに……引きずられていっちゃった」
「へ?」
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次回「ゲームオーバー」
昨日はすいません。久しぶりに書いてる途中でデータ飛びました。あと、コメディ要素増え気味ですがタグにコメディってあるので。そして、そろそろラブも投入しようかなと。
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