第22話 面倒くさい


「おいっ、伊賀ぁどういうことだよっ!!」

「お前、遂にはあの長坂さんまで落としたのか!?」

「お前には新井ちゃんがいるはずだろっ!!」


 長坂さんも帰りようやく落ち着いた昼放課が戻って来たと思ったらこれである。……一言だけ言わせて欲しい。


「うるさいな」

「「「いや、そうは言ってもだなっ」」」


 まぁ、どうせそうなるんだろうがな。


「大体、最近のお前ヤバイからなっ。これで2大アイドル両方落としてんだぞ。このままのペースでいくと俺たちが付き合える女子がいなくなっちまう」


 1人の男子の言葉に残りの2人もそうだと言わんばかりに大きく頷く。本当に一体なんなんだコイツら。


「どっちも落ちてないぞ」

「「「いや、間違いなく新井ちゃんは落ちてる」」」

「なんでお前ら妙に揃うんだよっ」


 確かに新井からは告白もされたぐらいだし否定出来ないけど、コイツらそこまで知らないはずだろ? いや、今までの新井の様子を見てか? どっちにしろ、大声で叫ぶのはヤメて欲しい。


 いや、もう今更無駄かもだけど(泣)


「どうせ噂が広まりきってるだろうし無駄だ(泣)みたいな顔してどうしたんだい?」

「やっぱり、お前心読んでんだろ! そうなんだろっ!」


 そこに黄泉も合流して場は更に荒れていく。なんで、こんなに俺の周り男で埋めつくされてんだ。ここはアイドル会場でもなんでもないんだぞっ。


「つーか、(泣)まで読んでくんなよっ。流石に変態すぎる」

「へ、変態って……」


 なんか黄泉は若干ショックを受けたような顔をしているがスルー。つーかもう、色々と面倒くさい。


「変態の話より長坂さんのことだよ」

「そうだっ。そんな変態は放っておいてどういう関係なのか教えろ」

「元々変態はHENTAI☆だっただろうがっ、そこに違いなんてねぇからどうしたら美少女とばかりお近づきになれるのか教えてくれ」

「み、みんなまで……」


 なんか黄泉に全ての攻撃がいってる気もしなくもないがスルー。というか普段の行動のせいだよな、これ。普段から男子の内情をばら撒くから恨まれてるよね、これ。


「長坂さんとは昨日たまたま会っただけで接触はその一回だけだから。全然仲良くはない」


 変態をここぞとかばかりに弄る三人に対し俺は事実を淡々と語る。というか長坂さんに関してはマジで話せることがこれくらいしかないんだよな。

 イマイチどんな人かもまだ分からないし。


「「「せっ、接触!?」」」

「なにそこだけ抜き取ってんだっ。お前ら高2男子かっ!」

「「「高2男子だけど?」」」


 そうだった。コイツら人生で1番馬鹿になる手がつけようにない時期真っ最中だったわ、いや俺もなんだけどな。

 でも、こいつらと一緒にだけはされたくない。


「あぁもう、ガチであんまり分かってないんだ。だからこれ以上は話せない。分かってくれるか?」

「「「どこら辺を接触させたんだっ」」」

「いい加減そこから離れろっ。というか、人の話を聞けっっっっ」


 最早、完全にそこしか頭にないバカ3人を俺はたしなめるが高2バカと化したコイツらを完璧に止める術などどこにもありはしない。


「コンプライアンスだっ、不純だっ」

「これだから男子は……」

「羨ましいぃぃぃぃぃ」

「最早、ふざけてるだろっ」


 完全に悪ノリに走り始めた高2バカ3人を止めることはもう困難か? ならいっそ……。


「おーい、コラ君達なーにしてるのかな?」

「「「先生!?」」」


 俺が3人にデコピンをして黙らせようかと思い始めた時、後ろから響いた声にバカ3人が反応する。ラッキーだ。高2バカにも弱点は存在する。


 それは先生や親といった存在である。基本的に同級生の前では強気に出れる彼らでもこの存在の前でふざけることは難しい。

 案の定、怒られるとでも思ったのか3人は蜘蛛の子を散らすようにして去っていってしまった。……まぁ、相変わらず黄泉はうずくまって落ち込んでるけどな。


「助かりましたよ。先生___」

「いえいえ、先生としては当然のことですよ♪」


 俺は感謝を伝えようと振り返り……そして固まった。足が自然と震える。あり得ない、あり得ないだろっ。


 誰だこの人? こんな人、この学校の教師にはいない。俺は教師だけは全ての人の顔や性格、教えている科目などある程度把握している。

 しかし、この人は顔すら見たことがない。しかも、この時期に教育実習生なんてのは聞いていない。情報もない。


 不法侵入者、そんな単語が頭をよぎる。そして考え始めた時には俺の体は動いていた。腰に常時セットしている縄を取り出し目の前の人物を拘束にかかる。


「残念〜♪」

「はっ?」


 しかし、彼女?を捉えたはずの縄は俺に巻きついていた。というか、この縛り方……。


「まだまだだね。でも、中々にいい反応だったわよ。それに友達も沢山出来たみたいだし。お姉ちゃん嬉しいなぁ」

「やっぱり静姉かよっ」

「はーい、お姉ちゃんで〜す」


 俺が突然縛られたことによりザワツク教室の中、彼女……いや静姉は変装をしたまま嬉しそうに笑う。


「というわけで、突然ですがこの学校にやって来ました新任の佐々木です。よろしくねっ」


 そして顔を上げるとザワツククラスメイトに向けそう言い放つと俺の方を見てニヤニヤと笑う。恐らく俺が驚いているさまを見て楽しんでいるのだろう。


 あぁ、流石に予想外すぎて頭が回らないがこれだけは言える。


 面倒くさい。絶対に更に面倒くさいことになるっ。コッチは新井と長坂さんの相手だけで精一杯だってのに……どうすんのこれ。下手したら不登校だぞ、これ。




 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 しーらない。どうなるの、これ?※一応、作者です。


 次回「色々と起こりすぎなのでコマンド「逃げる」を選択っ」


 良かったら星や応援宜しくお願いします。あと、投稿遅くてすいません。明日は頑張ります。……多分ね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る