第21話 家族が増えました……って増えるかっ
私は彼がいるクラスまで来ると手頃そうな男子生徒に後ろから声をかける。
「そこの貴方、呼んで欲しい人がいるのですが」
「一体、どな___って、ええっ!?」
あら、相当驚いた様子のようですね。まぁ、貴方には微塵も興味はありませんし顔すら覚えないとは思いますが、私に話しかけて貰えたことを精々喜ぶといいですわ。
「そ、それで誰を呼んで欲しいんですか?」
「それは___伊賀 光太郎君よ」
そして私は笑みを浮かべてそう発言する。あら、固まっちゃったけどどうしたのでしょうか?
*
「い、い、伊賀! お、お前のことを呼んでる人がいる」
「新井か?」
昼休憩に差し掛かり、いつも通り翼が俺の元へとやって来た頃クラスメイトからそんな声がかけられた。俺は昨日の発言から新井だと思いそう問いかけるが、
「いや違う。と、とにかく来てくれ! 俺が相手出来るような人物じゃない」
「新井じゃない?」
それにあの慌てようだ。新井以外にあそこまで焦らせるような有名な奴って誰だ?
いや、待て。1人だけいるんじゃないか? 新井と同格の有名人で俺と関わりがある奴。
確かあの人、昨日俺に興味を持ったような発言してたしな。
……出来れば逃げ出したいがここで逃げ出した場合、あの人が怒ってよくない話をばら撒くかもしれない。翼の話だとかなり自己中らしいからあり得なくはないかもしれないしな。
「行くのかい?」
「あの様子だと恐らく無視を決め込んでもどうせ入ってくるだろうしな」
「まぁ、あの性格だとそうだろうね」
新井以外ということと昨日の出来事から翼もある程度予想がついているのかそんなことを言って苦笑いをする。
そして俺はため息をつき立ち上がると声を上げていたクラスメイトの元へと向かう。
……はぁ、気が重いな。
「……来たぞー」
「おう、ってかなんでそんなにテンション低いんだよ。……あっ」
おいっらなんだその全てを理解した的な顔は! 別に新井じゃなかったから落ち込んでるわけじゃないからなっ。変な誤解すんなよっ。マジで!
まぁ、新井の方が全然良かったとは思うが来て欲しいわけじゃないんだよ。言ってもどうせ無駄だろうから言わないけど。
「つーか、マジで失礼のないようにしろよ。ったく、なんでお前ばっかり」
そして目の前の彼……倉内はブツブツいいながら俺を通す。……いや、俺からすれば面倒ごとが舞い込んでるだけなんだけど!?
「……何の用ですか?」
「そんな嫌そうな顔しないでくださいな。私はただ伊賀くんと話したいから来ただけですよ」
俺が廊下へと行くと案の定そこには学校のアイドルこと長坂 可憐が立っていた。
全く、なんでこうなるんだか。
*
「ご趣味はなんですの?」
「唐突なそのお見合いムーブはなんなんですか?」
普段なら相手の表情から考えてることを大体分かるんだけど、この人はまるで分からない。何を狙っているのか。本当にただ俺に興味を持っただけなのか、それとも。
「……全く、長坂さん相変わらず自分勝手だね」
「あらっ、なにか言いましたのツバッサ」
「なにも〜。あとその呼び方やめてって言ったよね」
俺がそんなことを考えていると、いつの間にか翼と長坂さんが睨み合っていた。……翼がここまで人に噛み付くのは珍しいけどなんかありそうだったしな。
まぁ、聞いてみたがはぐらかされてしまったので結局分からずじまいだが仲があまり良くないことは確かだろう。
「ツバッサがなにを疑っているのか分かりませんが私はただ伊賀くんと仲良くしたいだけですよ」
俺と仲良くしたいの部分をわざわざ強調して周囲にも聞こえるようにする長坂さん。そのせいか、一気に視線を集めた気がする。
……これ、狙ってやってるだろ。
「もう、友達ですものね?」
「……そうですね」
上手い手だ。向こうからそうふられればコチラとしてはこう答えるしかない。実質選択肢が1つだったというわけだ。
「むぅ、
「いや翼、俺が中学と小学校1人も友達作らずきた前提で話すのやめてくれない? どんだけボッチだったの、俺」
なんの対抗心かは分からないが少し頰を膨らませてそんなことを言う翼にツッコミを入れる。
「フフっ、やはり中々に面白い方ですね。貴方」
「えっ? いや、普通だと思いますけど」
そんな俺の反応に対し、相変わらず読めない表情のまま笑みを浮かべる長坂さん。それに対し不快感を露わにする翼。はぁ、まだ長坂さん居座りそうだし精神的苦労が絶えないな。
それにしてもいつまでも経っても今日は新井はこないけどどうしたのだろうか? いや、まぁ今日のこの空気だとカオスになるだけだからいいんだけどそこだけが少し引っかかるな。
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次回「面倒くさい」
2日も投稿休んですいません。正直に言いますと、この2日間完全にダラけてました。
「よう実」を一気買いしてそれをコタツで読みながら「ぼざろ」のmadを漁って餅を作ってたら2日終わってました。
今後はないように気をつけます。はい。本当に申し訳ないです。
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