第2話 あれは勇者じゃない!
あれは勇者じゃない。
「魔王を倒す勇者の血を引く者を探しているらしい。」
酒場でコソコソと話している連中がいる。
それは王都に貼られた魔王を討伐する勇者を探しているという掲示板の張り紙の話だった。
「そこで俺たちが勇者と名乗り出て、王の支援金を頂こうって話だ。」
なんだかとんでもない話を聞いてしまった。
ガラの悪そうな三人組の計画を知った俺は、彼らの後を追うことにした。
最初に彼らが向かったのは、勇者の血を引く証明の為に勇者の石板を捏造するようだ。
近くの遺跡の入った所の壁を削り石板を作り、石を削り文字を描く。
街に戻ると酒場に寄り、四人目の仲間を用意して、王城に向かった。
まんまと王から金をせしめた自称勇者一向は、各街に移動しながら、王に貰った勇者の証を見せながら豪遊していた。
それでも奴らが勇者として成り立っているのは、四人目に仲間にした奴のおかげだ。
依頼された魔獣の討伐は四人目がほとんどやっている。
アイツは何者だ?
調子に乗っているのか、本当に魔王討伐と言い始める。
やがて、魔王様の城まで奴らは来てしまった。
マズイ、今まで偽物の勇者だから、ご安心をと報告していた俺の命が危うい。
三人は偽物だが四人目だけは実力があるじゃないか。
そして魔王様は倒された。
三人は戦いの中何度も死ぬが、四人目は賢者として魔法で何度も生きかえらせていた。
魔王様が討伐されると、勇者達を殺した。
「クズどもだったが、役には立ったな。
さてと、もう少し俺は楽しませてもらうぞ。
賢者は魔法で魔王様の虚像を創り出した。
お前、魔王が偽物とバレないように、お前が魔王軍を指揮しろ」
「魔王討伐の為に、各地でもてなしてくれるからな、もし討伐してしまったら、その時点で平和が訪れて、用無しになり、王は力を恐れて俺を殺しにくるだろう。」
さすがは賢者、魔法が使えるだけが賢者ではないということか、その先まで見通す頭脳こそが賢者か。
だが、
思っても見ないチャンスだった。
まさか、ノミサイズの魔物である俺の存在にまで気がつくとは。
「大瀬のままに魔王様!」
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