第12話 ユキの独白2
結局、私はソラに別れを告げることができなかった。
『 俺と友達になってくれ 』
うれしかった。本当に嬉しかった。
父からは失望され、同世代からは怖がられ、友達一人すらいなかった私にそう言ってくれた。
何より、ソラにそう言ってもらえたことが本当に嬉しかった。
でも、それはかなえられない。
これ以上ソラといると、ソラのほうに迷惑が掛かる。だからいうんだ私、
さよならって。
言えるわけないよぉ
私はその場から走り去った。
「ユキフィル、別れの言葉は伝えたか?」
「い、いえ。まだです」
「そうか。だが、なるべく早くしろ。お前には来週から、飛び級で王立魔法学園に通ってもらうことになった」
「ッッ!!ら、来週ですか?いくら何でもそれは早すぎではありませんか?だいたい、試験だってあるのですが…」
「私の娘なら、試験などたやすくこなせるだろう」
「し、しかし、」
「私の判断が不服か?」
もうどうでもよくなった。
「ねぇソラ、私と戦ってよ。負けたほうが勝ったほうの言うことに従う。簡単でしょ?それでね…私が勝ったら…金輪際私に関わらないで」
もうどうでもいい
「エレキウォール」
もうどうでもいい
「”雷鳴”」
どうでもいいはずなのに、涙が流れる。
ばいばい、ソラ。
え?なんで雷が曲がるの?今までそんな技ソラは使ったことなかったのに!!
ま、まずい
あ、
気づくと、私の首にソラの剣が当てられていた。
そっか負けたんだ。ダメダメだ私。もういっそこのまま、
「死んだほうが…」
瞬間、
「何ほざいとるんじゃこのバカがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁ」
ソラの拳がユキの頭に落ちる。
ソラに頭を殴られた。痛いはずなのに…なんだろう…どこか温かい
「ソラにも迷惑かけちゃうかもしれない」
それは絶対に嫌だ!!私だけならいい、でも、ソラにだけは嫌だ!!そんなことしてソラに嫌われたら、私はこの先生きていけない。
「だ、だから…____」
「___いいよ」
え?
い、いまなんて、いいよって…
「それってどういう…」
「だから、俺にも迷惑かけていいよって言ってんだよ」
その答えはあまりにも予想外で、
「で、でも________
泣きそうになって
「俺はな、お前といるのが好きだ。お前と一緒にいるためなら、どんなことだって乗り越えてやる。もちろん、お前が与える迷惑ってやつも、乗り越えてやるさ」
とってもかっこよくて
「お前が、何にそこまでおびえているのかはしらねぇ。けど、俺は何かユキが困っているなら助けてあげたいんだ」
とっても優しくて
「だから、もう一度頼む。俺の友達になってくれ」
あぁ、やっぱりそうだ
ずっと前から本当は気づいてた。でも気づかないふりをしてた。
気づいたらきっと戻れなくなるから。
そっか、ソラを遠ざけてたのは、ソラに傷ついてほしいからじゃなくて、私が傷つきたくなかっただけなんだ。
なぜなら、私はソラのことが好きだから。
「はいっ////喜んでっ」
もう間違えない。愚かにも引き返すことなんてしない。
父にもあらがう覚悟をする。だって私はソラとずっと一緒にいたいから。
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