第11話    ユキの独白1

私の名前はユキフィル・セラ・レイモンド。レイモンド公爵家の一人娘である。


私には才能があった。幼いころから莫大な魔力をその身にやどし、王国の将軍であり公爵でもある父の雷魔法を受け継ぎ、それはもう期待された。


だけど、その期待は私には重すぎた。


父は将軍、それが意味することは、この国で最強だということ。


最強の娘は同じく最強でなければならない。


度重なる辛い訓練、貴族社会でのマナーや常識、父が私に求めるものの水準はあまりにも高すぎた。




なんでこんなこともできないんだ



できないとそういわれた。




そんなことできて当然だ



できてもそういわれた。



私は心身共に疲弊していった。




けど、私はあきらめなかった。



父は私の雷魔法にとても期待している。だから、もっと雷魔法を鍛えて、いつか父に認められるようになるんだと心に誓った。



それから私は、より雷魔法を磨くために、魔物が生息する森に出かけるようになった。



そしてある日、汗を泉の水で流していると、一人の少年が、私のお尻を触ってきた。



私は何が何だかわからず、混乱していたが、少年が私にはいた一言があまりに不快だっため、思わず雷魔法を放ってしまった。



そして見事、少年は気絶した。



少年の名はソラ・ノルウィンというらしかった。でも、むかつくから、変態って呼んでやることにした。


変態もこの森に鍛錬に来ているらしく、鍛えられた体をしていた。



利用できるかもしれない。



私は、この変態を利用することにした。



1週間が経過した。



この変態はおかしい。私はそう結論づけた。


まず、無属性魔法の制御力が卓越しすぎている。特にあの身体強化、あのレベルの使い手は、同世代でも見たことがない。



咥えて、魔法の才能も私ほどではないがある。魔力量も比較的多いし、風魔法の中級ウィンドカッターを使っていた。


魔法の適性は何かと聞いたら、たぶん風属性だけといっていた。なんでも、正確に測ったことがないらしい。


いや、普通はかるでしょ。何やってるのよこいつ。



1か月後、私の生活は充実していた。


最近はソラといる毎日が本当に楽しい。


お互いの才能が刺激しあってか、どんどん雷魔法の練度が上昇していくし、まさにいいことずくめだった。


ソラに対して、むかつくことは減った。むしろ今はどっちかというと好意的だ。でも、たまに出る、私のことをべた褒めしてくるのはやめてほしい。アレは突然来るから本当に心臓に悪いのだ。


そんなこと言われたら、勘違いしちゃうじゃん



家に帰ると、また地獄の日々が始まる。失敗しては怒られ、成功してもそれがさも当然のように言われる、あの地獄の日々が。



でも、これを耐えればまたソラに会えるとおもえば、全然耐えられる。


はぁー早くソラに会いたい。












「平民の男と会っているようだな。公爵家のものが周りに勘違いさせるような行動をとるな。もうその男とは会うな。これ以上会うなら、それ相応の対応を取らせてもらう」



え?



一気に、私の中の何かが崩れ去っていくような感覚がした。




あぁそうだ、いっつもそうだ。



私に、幸せなんて訪れない。



私の心が暗く染まっていく。


でも、せめて、



「せめて、別れの挨拶だけは、させてくれませんか?」


「ふむ、よかろう」


「ありがとうございます。では、これにて失礼します」


私は今どんな顔をしているのだろうか。









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