第8話 あれから
あれから、1週間が過ぎた。俺は今、あの泉にいた。
ユキはあれ以降、森に来ることはなくなり、俺の前にも姿を現すことはなくなった。あいつはおそらく、俺に愛想をつかしたのだろう。でも、
『 謝るのはむしろ……!! 」
あの言葉が、頭の奥ににつっかえて離れない。
もし、ただユキに拒絶されただけならば納得ができた。
いや、納得ができただけで、家に帰って咽び泣いていただろうが。
だが、どうにもユキの雰囲気からは拒絶の意思は感じなかった。むしろ、友好的に感じたほどだ。でも、ユキは俺に申し訳なく感じるとともに、何かにおびえていた。
ユキは、森でけがをしている動物を見ると、手当てをしてあげるぐらい優しい女の子なんだ。
少し、いやかなり口は悪いけど、俺には無い、雷魔法を使うとんでもなくすごいやつなんだ。
ときどき微笑んだ時の笑顔が、天使みたいに綺麗な女の子なんだ。
もし、そんなユキを苦しめている奴がいるなら、
「俺が絶対に救ってやる」
覚悟は決まった。
ガサガサ
「誰だ!!」
俺は剣を前に構える
「ッッユキ!!」
「…久しぶり、ソラ」
ユキは、いつもより高価で綺麗な装飾品を身に纏い、俺の前に現れた。
その顔は万人が見れば天使だとほざくだろうが、俺にはわかる。貼り付けた笑顔には、かすかなクマと、泣いたのか赤く染まった瞳があった。
はらわたがふつふつと煮えくり返る
「ねぇソラ、私と戦ってよ。負けたほうが勝ったほうの言うことに従う。簡単でしょ?それでね…私が勝ったら…金輪際私に関わるのやめて」
こんなにも腹が立ったには初めてだ
「受けて立つ」
名も知らぬ誰かよ。
「かかってこい」
誰を怒らせたのか、思い知らせてやる
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