綺麗の不思議


 例えば、クリスマスシーズンに街を彩るイルミネーション。映像美を追求した映画。道端に咲く小さな花。夕焼け。星空。

 好みはそれぞれありますが、人にはそれらを綺麗だと思う感情があります。この感情について、ぼくは常々不思議だと思っています。何かを綺麗だと思って、それに感動する意味が果たしてあるのかという、そういう疑問です。


 人の心は複雑で自分のことすらもよく分からないですが、ぼくが一番分からないのはこの「綺麗」を感じる心です。生きていく中で、その感情は必ずしも必要なものではないと思ってしまいます。なぜ人には「綺麗」を感じる心があるのでしょうか。


 綺麗な花は、生きるために必要か。

 綺麗な空は、生きるために必要か。


 澄んだ空気の夜空には、綺麗な星が輝きます。それは確かに「綺麗」で、ぼくの心にほんの少しだけ光を灯してくれます。それについて深く考える必要はないのかもしれませんが、「綺麗」が人に与えるものの正体を、どうしても知りたいのです。その答えが分かった時、もっと楽に生きられるようになるのかもしれないと、そんなことを考えています。


 残りの人生であとどれだけの「綺麗」に出会えたら、その答えに辿り着けるのでしょうか。分からないけれど、今日もぼくは少しだけ、星を見上げてみることにします。

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