差し色
“差し色”という単語は、高校生のときに読んだファッション雑誌で知りました。ファッションにおける差し色は、同色や同系色の中に、アクセントとして入れる色のことです。基本色に対して同色ではなく、反対色など目立つ色を使い、その面積は小さくなります。ファッションに疎くて、尚且センスのないぼくにとって、差し色はお手軽にオシャレ感を醸し出すことができる画期的な手法でした。
ところで、なぜぼくにはファッションセンスがないのでしょうか。明確な答えは分かりませんが、自分の性格的な傾向が関係していると思います。
ファッションセンスが優れている人は、身につけるアイテムの種類や色を問わず、何でも着こなしてしまいます。派手に何種類もの色を使っても、ちゃんとオシャレになります。ぼくの場合、いろんな色やアイテムに手を出しすぎると、全体的にバランスがおかしくなります。シンプルにまとめることしかできません。
ファッション以外のことでも、そういう傾向があります。仕事はマルチタスク的にこなせないし、人脈も少ないです。文章を書くときも、語彙が乏しくていつも同じ言い回ししかできません。
これらの性質は、ぼくという人間の弱点をよく示していると思います。この弱点を克服するための方法として、“差し色”が使えるのではないかと考えています。
人間関係を充実させるには、友達の多さよりも親密度を上げたり、ピンポイントで共通の趣味の人を見つけたり。エッセイや小説を書くときは、一つのテーマの中にちょっとした変化球を入れてみたり。
様々な場面で差し色を使うことで、平凡な人生の中に、アクセントとして小さな幸せの差し色を織り交ぜていけたらいいなと思います。
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