第五章 異世界主人公は無双フラグが成立しやすい 二話

「魔族だ……」

 咄嗟に俺は、確かめるような声で呟いてしまう。

 なんせ血の如く赤い特徴的な目は魔族特有で、それがめまいを覚えるほど一定の距離感を保ちながら左右、真っ直ぐ道を形成していからだ。

「前進以外の選択肢を潰されたような……」

 話し合う道が完全に絶たれていた。

「これが君達魔族の本気――いや違うか、裏切った私への報復という訳か」

「まるでリーナが裏切ること自体、想定内みたいな感じよね」

 出口は塞がれ、不安ありきの歩幅で光が零れる場所へ進む――

「のうのうと戻って来られたな、リーナ! 貴様の穢れきった身体を、魔王様への半端な忠誠心を、私が今ここで滅ぼしてくれる!」

「エルドを取り返し……洗脳を、解く!」

 ――東京ドーム一個分は収まりそうな、開けた場所に魔族の軍勢がコレでもかと三百六十度、全方向に配置されていた。

「これで分かっただろう? 私は本当に魔王を裏切ったと……」

 自信たっぷりに鼻を鳴らしては威張るような口調で反魔王だと宣言するリーナ。

 ……幼稚だな、お前は小学生か。

「小学生じゃないよ、私を外見で判断してもらっては困るぞ」

「案外気にしているのか。自分の外見……」

「ふん、胸ばかりで女性を判断しているようだとモテないぞ?」

「余計なお世話だ! そして俺の心を読むな……って⁉」

 更なるツッコミを入れようと前方のリーナへ重心を傾けた、その刹那。

「……外したか、まあいいさ。私は気付いていたんだリーナ、いずれ貴様は魔王様を裏切ると。最初からそのつもりだと! ここで貴様を殺す事は確定事項だ!」

「魔王四天王ゲノス様、生憎ですが貴方の相手をしている暇なんて一秒も、いいえ私のスケジュール上には入っておりませんわー」

 ゲノスの上空から真っ黒なエネルギー弾が目にも留まらぬ速度で俺達へ放たれ――人間へ到達する直前に構え立つリーナがソレを剣で一刀両断し、左右から砂煙が舞った。

「貴様……楽に死ねると思うなよ! 殺せ……誰一人として残すな!」

「エルド、助ける!」

 本格的に闘いの火蓋は切られた。


「おいおいおいおいワイバーンは反則だって! 海人、助けてくれ! これじゃ俺の身体は数秒も経たずして、灰になっちまうよ!」

「自分で何とかしろーガウト。俺だって今雑魚を片付けるのに手一杯だ。それにお前は多分、ネタ枠だから死なないと思うぜー」

 俺の前で。

 炎に焼かれた尻を両手でパタパタ叩きつつ、必死の形相でワイバーンから逃げ惑うガウトの姿は、正しくギャグアニメに登場するネタキャラクターを連想させるほど、馬鹿馬鹿しく滑稽に見えた。

 ……トイストーリーに出てくる炭鉱のおっさんといい勝負だな。

「待てよ! 諦めるな、海人。海人さん? 助けてー」

「悪い、今しばらく耐えてくれ!」

 俺には救えない命だ。

 コイツがネタキャラクターへ昇華される時点で死ぬ可能性は低いし、炎属性の耐性を持ち、断熱素材で作成された赤の防具を身に纏う時点で、十分ワイバーンと渡り合える素質や能力は兼ね備えてある。

故に、主人公の俺はウジ虫の如く湧き続ける魔族を片付け、高みの見物に勤しむ四天王まで辿り着くのが仕事。結局大軍を呼び出したのはアイツら四天王で、指揮官を倒せば少なからず敵の戦意喪失は免れないと踏んでいる。

物語のフラグ、展開としてコレを覗く時、無限に湧き出る系統のシーンは必ずと言って良いほどタネは指揮官が持ち、大抵ソレを倒すと負の事象は落ち着くものだ。

「みんな! 雑魚は任せた。俺は……四天王を倒す」 

 そう決断すれば、俺は右手に持つロングソードで前方の角を二本生やしたガーゴイルを空中で横一閃。横から崩れ落ちる死骸が地へ届く前に灰となり消えるのを見届け、徐々に魔王四天王ゲノスの元へ真っ直ぐ近づく。

「グオオオオ!」

 だがしかし、立ちはだかる影は全身緑の分厚い皮膚で覆われ、血の如く真っ赤な双眸でコチラを射抜くオーク。

「オーク⁉ それも二体だと……クソが!」

 更にオーク二体は喉を激しく唸らせ、ゴブリン五十匹を俺に差し向けてくる。

 未だ異世界無双主人公の片鱗が見えない為、先の戦闘では一対一の状況を作り出し己の知恵と技術で何とか魔族を倒せていた状況なだけに、ゴブリンの大群は辛いモノがある。

 ……リンチされる未来しか見えないぞ。

 仲間と合流しようと思ったが、既にゴブリンの群れは円を描き俺を囲んでいた。小汚い布切れを着用し、手には棍棒を持ち襲い掛かる。

「一人で倒すしか無いのか……」

 他のメンバーも善戦しているようだし俺も格好悪くとも多少なり、この戦いに貢献したいと思っている。

 主人公として。

「来い、ゴブリン! まとめて相手してやるよ!」

 無傷でこの現状を打破する方法に思考を割く余裕は、凡人レベルの身体能力と魔法習得力を持つ俺にとって無理な話。

 ……みんな、努力して俺の元へ駆けつけようとしているけど、間に合わないだろうな。

だから脳筋みたいに無策で敵陣へ飛び込んだ方が潔いと思った。

円形状に囲むゴブリンを、突如空中に現れた人影が空を切った――

「アイツらを海人だけで対応するのは無理があるよ。能力に頼らずガッツだけで通用する易しい敵じゃあるまいし、君に死んでもらっては困るよ」

 ――少女は不敵な笑みを浮かべ、俺の命をすくい上げる。

 数秒後、赤い噴水を出しながら同時に倒れる数十体のゴブリン。

「残像しか見えなかった。なんじゃこりゃ……」

 異世界無双主人公はお前じゃないか、リーナ。

 ロングソードを片手に、もう一方の手で額に滲んだ汗をハンカチで拭き取っている。

「どうやら間に合ったようだね。無傷で何よりだ」

「来るのがギリギリだぞ、リーナ。無双フラグ片鱗ゼロの俺に、少しは優しくフォローしても良いと思うな!」

「海人が耐えてくれたお陰で、数千の軍勢が今となっては数百まで減ったのだから。少しは自分を褒めても良いと思うが?」

 ゴブリンが憎たらしく、悔しげに後退りするのが見て取れる。同胞の死と散っていく魔族を前に早くも戦意喪失しかけるオーク。

「怯える暇など……我々が負けるなど……許されない!」

 白銀の瞳が紅く輝き、槍を石造りの床へ突き刺すと。

 両翼で飛び立ち襲来するガーゴイル数十匹と大地を踏み鳴らし左隣のリーナへ進軍する緑の悪魔――ゴブリン三十匹。それを彼女は呆れつつも身体ごと一回転し刃を振った。

 停止後一秒、全ては灰に変わる。

「異世界無双主人公の力を過信すれば、やがて……大切なモノを失う可能性だってある」

 そう言ってパタパタと両手で白制服の汚れを気にするリーナ。

「おいおい……嘘だろ、アレ! どれだけ魔族を相手にすればいい? 明らかに数が……」

「増えているな。多分、奴――魔王四天王ゲノスの支配能力が原因だろう」

 俺の左隣に立つリーナがロングソードを使いゴブリンの全身を切断して応えた。

「どう一人で切り抜けば……」

「仲間に背中を預けるのも主人公の仕事だと私は思うよ」

「背中を預ける……か」

 確かにリーナの言う通り、俺は他人をそこまで信用せず生きてきた。

 根底には「他人に迷惑を掛けたくない」心理と主人公だから、というプライドや理想像を大切にしていた部分がある。

「何事も試さないと始まらないだろう?」

「海人! この人を信用しちゃ、耳を貸したらダメだからね! 妹の私は、海人が騙されていないか凄く心配だよ!」

「背中を預ける事、それを今から私が教えてあげよう。実践だ、海人」

 そう言い残してリーナは愉快そうに口角を上げ、懐から見覚えのある細長いモノ――万年筆を取り出した。

「あの時の……」

 そう、俺が転移魔法を使えず困っていた時にリーナが使ったあの万年筆だ。

 ……魔王軍四天王がよりによって二体いる状況下で晒して良い代物じゃあるまいし、それを敵に見せびらかすような真似をして大丈夫なのか?

「事象を転換せよ、フラグよ、我の中に戻れ……エンドロール!」

 俺の心配と疑問に間髪入れず、リーナはいつかの森中で聞いた詠唱を楽しそうに口ずさむ。

「あ、そうそう。ゲノスくん、今降参すれば全部許してあげるけれど……どうする?」

「貴様! これ以上の侮辱は許されないぞ!」

「君の軍勢って……総数にして二万弱だったよね?」

反応を楽しむように問いながら。

リーナは前方の何もない空中を、さも真っ白なノートへ横線を引くように、勢いよく左から右へ万年筆を滑らせ――

「だからどうした……と」

 相も変わらず目の前には、地へ足を付けない魔王四天王二体が俺達人間を見下す形を継続中。

「安心しろ。退屈しないよう、ちゃんと十万以上は集めておいた――名探偵、メア、仕事の時間だ! ありがとう、存分に己の力を奮ってくれたまえ!」

 ――浮かび上がる青白い文字列を、今度は右から左へ万年筆を走らせた。

 その刹那、上空から破壊音と爆風、砂埃が舞った。

「アンタ達がリーナを傷付けるなんて百年早いわ! やりなさい……汚らしいゴブリン共を駆逐しなさい!」

「計画通りだ、リーナ。さっさと終わらせるぞ、この戦い」

 魔王城全体を吞み込みそうな衝撃と懐かしさすら覚える声音は俺の頭上、大量の同胞を率いてやって来たのだ。

「無論、そのつもりだよ。メアもすまないね、私が率いるべき魔族の指揮を取ってもらって」

「リーナの指示なら喜んでやるわ。だから心配しなくて大丈夫だから!」

「……!」

 何という強引さと派手な登場の仕方だ。

 敵だけじゃなく俺を含む味方全体が固まる衝撃。まるで金ピカ英雄王様登場シーンの如く、ゲートからメアとホームズを筆頭に続々と武器ではなく、人間――主にガラスト王国軍や魔族が登場し落下。

そして唖然とする地上の魔族を次々と殲滅していく。

……こんなのアリかよ、全くさ。

「訴えたい事は分かるさ海人。俺達が行う先までの戦闘は、苦労は何だったのかと言いたいのだろう? 大丈夫だ、その戦いは十分に彼らの油断と慢心、注意を引いてくれた。全部が全部無駄ではない」

「全てはリーナの手の内だった訳かよ。全く……可愛げのない奴だな」

「可愛げない奴とは酷い言われようだね。せっかく、海人本来のフラグ――異世界無双主人公の力も返還したのに……」

 不敵な笑みを湛えた左隣のリーナが、そう返答する。

「おい……今、なんて言った! 本来の力を返還だ、と?」

「調査中、魔王や四天王に殺されたら全てが台無しになると思ってね、今さっきまで身体能力向上と異世界チート能力を借りていたのさ」

 舌を出し、ゴメンと軽く謝罪するリーナが目の前に居た。

「だったら魔王城へ入る前に、俺の能力を返還しても良かったのでは⁉ お前は俺を殺すつもりなのか? 全く……」

「まあまあ、気にするな。それに私も海人の仲間達もみんな……君を信じているのさ。戦いの場は整えた、行って来い。そして必ずや魔王四天王を倒せ、主人公! フラグ回収屋からの命令だ」

「分かったよ……ああ、必ずゲノスを倒してみせるさ……フラグ回収師として」

「我々魔族を敵に回した事を後悔させてやる。まずはリーナの隣――ニンゲン。貴様の命を絶望へと叩き落とす!」

「リーナ……殺す」

 激昂する死と静かな死が同時にリーナへ人知を超えたスピードで詰め寄る。

 ……凄い、魔王四天王の動きが俺の視界で捉えられるぞ!

 決して残像の類ではない、髪の乱れ動く様や剣が振りかざされる軌道まで、その全てがスローモーションに見え――

「リンクス、貴様の相手はこの私だ!」

「ハハッ、エルド!」

 ――右側の狂気をエルドが漆黒の日本刀で勢い良く逆方向、後ろへかっさらった。

「舐めているのか、貴様!」

 上から降る白銀の死を俺は戸惑いつつもロングソードで防いだ。相手の押し出すパワーが強いのか、ジリリと双方の刃は火花と共に悲鳴を上げている。

「私の前に立ちはだかるか!」

「っく……!」

 瞬間、俺は大きく後ろへ押し出された。重心を崩され上体が大きく反り返ると、ゲノスの怒りを乗せた刃が今度は右横から崩れた態勢の俺へ注がれ――ギリギリのところでロングソードで防御し、全身を左方向に捻じ曲げつつ、そのまま一旦後ろへ下がる。

 リーナが身体能力フラグを返還しなければ、この一撃は防げなかったと思う。

「どうすれば……」

 身体能力向上を返還された今、俺の全身は数段速い感覚を馴染ませるのに必死で、駆け引きや攻撃に思考を裂く余裕なんて無い。

リーナに助言等を得ようと思うが――

「よそ見とは、随分と余裕だな……貴様!」

「グッ……!」

 ――ゲノスが邪魔をする。

 上からの圧力をロングソードで防げば両脚が少しずつ大地へめり込む。

 腐っても相手は魔族。

人間のように慈悲ある生物じゃないし、何しろ戦闘経験の差が天と地ほど異なる。今でこそ身体能力の底上げで弱点を補えてはいるが、長くは持たないぞ。

 ……どうすればいいんだ。

「変換したモノは身体能力向上だけじゃないだろう?」

 ニタリとリーナは笑う。

「俺の……能力」

 引き出され強化された能力。

 戻された力。

「そう、海人本来――オリジナルの能力だ。感覚として脳に刻み込まれ、本能がイメージできる力。身体と記憶が既にこの力を経験済みとして認識している状態。想像しろ、集中しろ、もっとのめり込め!」

俺は瞼を閉じて後ろへ約一メートル離れる。

……イメージしろ。

荒い呼吸を整えながらロングソードを縦に構え直し、目を瞑る。

 全ての事象、因果関係、始まりと終わり――プロローグとエピローグ、作者と読者、森羅万象。

「君の勝ちだ、海人」

 そっと瞳を開く――

「ふざけるのも大概にしろよ……人間!」

 ――目にも留まらぬ速さでゲノスが視界に入る。

 その証拠としてセリフを吐き終える前に、ソレは銀色の輝きを軌道へ乗せたまま俺の懐へ既に潜っていたからだ。

……全てを断絶する刃となれ。

音速と表現すれば適切だろう。しかし、それは唐突に終わりを迎える。

「シネ、ニンゲン」

 敗北した。

 俺が負けたのでは無く、ゲノスが敗北したのだ――結論として刃は俺に届かない。

「怒りで我を忘れたか、ゲノス。貴様にとっては一番つまらない幕引きだろうね」

「何が起こって……」

 刃を上空に振りかざし、その場でゲノスは停止していた。

 白銀の両翼と双眸、頭に生える不釣り合いで真っ黒な角は正しくゲノス本体が静止、いいや強制的に停止していた。

 ピタリと俺の頭上に停止した刃は、見る限りだと残り数センチのところで俺の頭へ達していたと思われる。

何が起きたか当然俺が認知できた訳もなく、ゲノスとリーナの会話は継続される。

「なんせ自身を殺した能力すら不明のまま、孤独に死ぬのだから……」

「貴様! 何をした!」

「海人どうする? できれば君にゲノスを殺して欲しいと思っている。無理なら代わりに私が葬るけれど……」

「物騒な事を女にやらせてたまるか……俺がやる。コレは俺のフラグでもある訳だし」

「頼もしくなったじゃないか、少しは」

「最後の部分は余計だ!」

 文言に近い会話を終えると、俺は深く深呼吸する。

 近づくリーナの足音と五感を消し、余計な感情を消去し――

「ハハッ、私を倒したからと言って魔族は滅びぬぞ。下等生物の貴様らニンゲンは、魔王様が……」

 ――俺は魔族の腸を裂く。

剣に絡まる肉と骨の感覚、地上へ漏れ出す血液の音、明確な死の結果だけが俺の感情を満たしていた。

「俺が……殺したのか」

 灰となり散りゆく命。

燃えゆく生命の音を俺は振り向かずに、ふとそんな言葉を零してしまう。

「気に病むな、海人。コイツの命を断つことで救われる命だって億万と存在する。君の行いは誇っていい事だ。負のフラグを自分自身の手で取り払い億万の命を救った、その事実だけだと不満かな?」

「いや……ないよ、別に」

「海人の能力は全ての事象に中間を与える能力さ」

「そうか……」

 地味で想像しがたい能力ではあるけれど、先程の戦闘でとてつもない力を発揮したのは事実。

「君の力は全ての概念や事象にあるスタートとゴールを失くす、あるいは中間を入れ続ける能力。この能力を前にして戦う人間は個性を発揮できず、海人と同じ土俵での戦いを強制される」

「なんだよ……」

 舐め回すように俺を一瞥すると、リーナは艶めかしい口元を機嫌よく開いた。

非常に嫌な予感がする。

「魔王は海人、君が倒せ。今現在、ヤツは私の策で裸の魔王状態だ」

「流石に俺一人だけだと無理があるぜ。いくら俺の能力が優秀って言われても、使いこなせなきゃ意味が無いぜ?」

「君という男は、これだから……」

「な、なんだよ」

 解釈に差異が生じたか、リーナは右手で俺の言葉を制止すると――

「誰が一人で魔王を倒せと?」

「そうじゃないのか?」

「そもそも海人、君は一人じゃないはずだ。傍には勝利を分かち合い、苦楽を共にする仲間の存在が居たはず……そうだろう?」

 ――俺に足りない要素を、呆れながら話してくれた。

「海人さんは独りじゃないです。私達が付いています」

「そこの女、リーナは気に食わないけど、私も居るから……一緒だからね!」

「アメリの言う通りだぜ、海人! 俺とお前の縁は切れないし、離してたまるかよ! 死ぬ時は同じ墓だぜ」

「私もあなたには沢山、助けられました。だから、恩を返すくらいはさせてよ」

「みんな……」

 やっと一人じゃないと理解できた、戦うのは俺だけど仲間の意思も背負っているのだ。

「覚悟はできたかい? 主人公、真神海人!」

「ああ、どんな事が起きようとも俺は仲間を信じ続ける。共に闘う」

 そう、俺は力強く心に刻むと――

「行け! ココは私一人で充分だ、ニンゲン如きが出ていい幕……地獄ではないわ!」

「エルド、お前」

「元四天王がそう言っているのなら、任せた方がいいと思うわ。海人、進みましょう」

「ツンデレの言う通り。リーナの反魔王軍をココに全て置いていく。生存確率は多少ばかし上がるだろう」

「それでは海人、最後のフラグを回収しに向かうとしようか」

「みんな……行くぞ、魔王城深部へ。魔王を倒しに!」

――負のフラグ、元凶の魔王へ俺達はエルドの犠牲の元、歩を進めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る