第28話 お買い物デートpart3
「どお?かわいい?」
悪戯ぽっく笑いながら、未来は俺に聞いてくる。
白いビキニの水着。
すげえ露出が激しい。
「うん。かわいいけど……」
正直、めっちゃくちゃかわいい。
だけど、これを着て人がたくさんいる海に行くとなると、他の男の目が……
「これ着て、ケータと海に行きたいなー」
未来は胸にビキニをつけて、俺に顔を近づけてくる。
もしかして、からかわれているのか?
「試着してみるね」
「え?水着って試着できるの?」
「トップスだけね。ボトムスはもちろん無理」
「ああ、そっか……」
「ケータ……何考えてたの?やらしー」
クスクスと未来は笑った。
どうも今日は、未来に弄ばれているみたいだ。
どこかでやり返してやりたいぜ。
「ふふ。試着するから、待っててね!」
ふう。ひとまず、タイムアウトだ。
俺はサッカーボールみたいに、未来にころころ転がされている。
悪戯好きな少女に、遊ばれているみたいだ。
家だと愛花ちゃんがいる手前、しっかり者のお姉さんを演じているだけで、実は未来は、ふざけたりおどけたりするのが好きなのかもしれない。
未来の別の側面を知れて嬉しいな。
「あ!あれは……」
俺は思わず身を屈めて隠れる。
1番会いたくない人物が、歩いていたからだ。
「太田と、隣にいるのは……桜田さん?」
未来の友達の桜田凛さんだ。
2人で手を繋いで歩いている。
太田のやつ……今度は桜田さんに手を出してるのか。
仲良く話している2人を見て、俺は少し不安になる。
太田が未来の大切な友達を傷つけるつもりなら、俺だって見過ごせない。
俺は隠れながら、じっと2人を見ていた。
「おーい!」
「……」
「もお!無視する気かー!」
「……わあ!」
ビキニ姿の未来が、俺の背後にいた。
といっても、ビキニは胸だけだが。
「せっかく水着を着てるのにー!」
ぷくーっと、リスみたいに頬を膨らませて怒る未来。
ビキニのおっぱいも気になるが、それよりも太田が近くにいるせいで、心がざわついてしまう。
しかも、未来の親友と一緒にいるし。
「ごめん。……あそこにいるのって、桜田さんだよね?」
「え……あ!凛!」
未来は顔を真っ赤にして、俺の背中に隠れた。
「ケータ!早く言ってよ!」
「俺も今気づいたから」
未来はダッシュで試着室へ行った。
幸い、2人は俺たちに気づいていないようだ。
2人はそのまま通りすぎて行った。
……未来のビキニ姿をもっと見たかったのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます