第14話 赤ちゃんはどうやったらできるの?

「ふかふかだぁー!」


愛花ちゃんがベッドに飛び込んだ。


「こら!ベッドが壊れちゃうでしょー!」


未来が笑顔で注意した。


「愛花、パパの隣だから!」

「ママ、パパの隣がいい!」


おいおい。ここは愛花ちゃんを真ん中にして、俺と未来が左右に寝るのが普通では?

パパとママと娘で、川の字になって寝るのがいいと思うのだが。


「あのさ、ここは愛花ちゃんを真ん中に——」

「ダメ!パパが真ん中!」


2人は声を合わせて、俺の提案を却下した。


◇◇◇


俺たちは今、同じベッドで寝ている。

俺を真ん中にして、左に愛花ちゃん、右に未来が寝る。

美少女2人挟まれて寝るなんて、ドキドキして寝れないじゃないか……


「えへへー!パパと一緒に寝れるんだー」


左から愛花ちゃんが俺に抱きつく。

抱き枕のようにガッチリと。 


「あ!ずるい!ママもパパとくっつくー」


右から未来が俺に抱きついた。

パジャマから胸が覗けるから、俺はあえて愛花ちゃんのほうを向いた。


「パパがこっち向いた!嬉しいー」

「パパ!どうしてこっち向いてくれないの!」

「左向いたほうが寝やすいから……」


おっぱいが見えるから、なんて言えるわけない。


「ずっとこっち向いてくれないの?パパの顔見たいのに……ちょっとだけこっち向いて?」

「ダーメ!パパは愛花だけを見て!」


2人は俺の頭を掴んで引っ張り合う。


「わかった!俺は上を向いて寝る!」

「えーつまんない!」

「がっかりしちゃった」

「……2人とも、早く寝なさい」


ふう……楽しいけど、ちょっと疲れたぜ。

俺は目を閉じた。

明日はバスケ部の朝練がある。

早く寝ないと……


「ねえ、パパ……」


愛花ちゃんが話かけてくる。


「……もう寝なさい」

「愛花、兄弟がほしい……」

「え?」

「赤ちゃんって、どうやったらできるの?」


……困ったな。

どうやって誤魔化そうか。

俺の親はこういう時、なんて言ってたっけ……


動揺している俺に気づいた未来が、


「赤ちゃんはね、パパとママが愛してるー!って気持ちが神様に届くと、コウノトリさんが赤ちゃんを連れて来るの」

「へー!じゃあ、ママと愛してるー!ってなって!」

「パパ、こっち向いて」


俺が未来の方を向くと、


「パパ……愛してる」


未来は俺にキスした。

出会ってから2回目のキス。

柔らかい唇の感触が、俺の唇に伝わる。

未来は目を閉じて、頬を赤く染めていた。


「やったー!これでコウノトリさんが来るね!弟かな?妹かな?パパはどっちがいい?」

「ママは男の子がいいなー!パパは?」


恥ずかしいから、俺はとても小さな声で、


「女の子……かな?」

「愛花に妹ができた!」

「名前は何にしよっか?」


……早く寝かしてくれ。



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