第13話 今夜は帰らないで

「ふうー気持ちよかった」


俺たちは風呂から上がって、リビングで牛乳を飲んだ。

……風呂ではいろいろあったけど、忘れよう。

とにかく触れないようにしなくちゃな。


「パパ!お風呂でママのおっぱい触ったね!」

「ぶ!」


俺は牛乳を吹き出した。


「パパ汚い!」

「あーあ。汚れちゃったね。もおー」


未来がタオルで俺の口元を拭いた。

風呂上がりの未来はいい匂いがする。 

髪が少し濡れていて、雫がキラキラしていた。

黄色のパジャマ姿がかわいい……


「ちっちゃい子みたいね。気をつけてよー」

「あはは。パパ、ちっちゃい子ー!」


それから未来が夕食にハンバーグを作ってくれた。

愛花ちゃんの好物らしい。 

すげえうまかった。


「あ、もう9時だ」


俺は時計を見て驚く。

本当にあっという間に時間が過ぎた。


「じゃあ……そろそろお暇すよ」


未来と愛花ちゃんは、きょとんとした顔で俺を見た。


「何言ってるの?パパのおうちはここでしょ?」

「パパ……どこ行くの?お外は真っ暗だから危ないよ」


2人は不思議そうな顔した。


「でもそろそろ帰らないと。明日も学校あるし」

「パパぁ……行っちゃうの……」


愛花ちゃんが泣きそうな顔した。


「パパ……ちょっとこっち来て」


未来に腕を引っ張られて、部屋の角に連れて来られた。


「……今夜、泊まっていかない?」

「それは……」

「昨日、ケータが帰った後、愛花が泣き出しちゃって。お願い!今夜は一緒にいて!」


俺は振り返って愛花ちゃんを見た。

うつむいて、身体を震わせてる。

さっきまで元気いっぱいだったのに……


「未来と愛花ちゃんがいいなら……泊まろうかな」


どうせ、帰っても家に誰もいないしな……


「やった!ありがとう♡」


未来は俺に抱きついた。

パジャマ越しに、柔らかいものを感じる。

風呂上がりでブラをつけてないから、感触が直に伝わってくるぜ……


「パパー!今日は一緒に寝ようねー!」


愛花ちゃんが俺の背中に飛びついた。

サンドイッチみたいに美少女2人に挟まれて、すげえドキドキしちまう。


「パパの心臓の音が聞こえる……これ聞くと気持ちいいんだー」

「ママもパパの隣で寝たいな……」 


◇◇◇


ずっと使われていない、夫婦の寝室。

未来と愛花ちゃんのパパは死んで、ママは海外出張中だ。

大きなダブルベットがあるけど、きれいで新品なままだ。


「ここで3人で寝ましょう!」

「嬉しいなあ!パパとママと一緒に寝れて!」

「ママも♡」


未来と愛花ちゃんは、2人で手を取り合って喜んだ。

まるで仲良しの妖精が飛び回るみたいに。


勢いでここまで来たけど、冷静に考えると、学校一の美少女とベッドを共にするのか。

……今夜、眠れないな。




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