第5話

「崎田様ご一行様ですか」

仁一朗の背後で甘い声がした。

仁一朗が振り向くと、赤いベレー帽の若い女が

この世のものとは思えないような魅力的な

微笑みを湛えてそこに立っていた。

「まあ、御一行様ってほど立派なもんじゃないけど、

コイツガ崎田仁一朗、あだ名はケツの穴、こっちが

野菊、あだ名はドクダミ。アハハ、笑えるでしょう」

波太郎がデレデレして頭を掻いていた。

「オマエはどうなんじゃい!」

仁一朗と野菊のダブル突っ込みが波太郎に入った。

「あはは、すいません」

波太郎が弱弱しく笑った。

「初めまして、わたくし白雪姫夏帆と申します。

何卒よろしくお願い申し上げます」

男ふたりはデレデレ。野菊は腕組みしてむくれていた。

「わたくし、元FKF48の末席を汚しておりましたが、

今はわけあって経営コンサルタントをいたしております」

夏帆が恭しく自己紹介した。



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