第4話

日曜日の午前。

今日もスタバは平和だった。

女子高生や親子連れ、老夫婦もいる。

仁一朗は自分だけが世界から見放されたような気が

していた。

「どうしたのよ、よそ見して」

野菊が仁一朗に聴いた。

「いっ、いや、別に」

「支払いの心配か。だったら大丈夫だ。野菊が

いるからな」

「わたし、一円も持ってないわよ」

「ゲッ」

波太郎と仁一朗が声を合わせた。

「ウソよ、ウソ。二人のコーヒー代くらい

払わせてよ」

「よっ、いい女」

波太郎が声を上げた。

「その友達の女って」

仁一朗が時計を見た。

「もう来ると思うわ。目印は赤いベレー帽。

よく見といてね」

野菊も時計を見た。

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