第6話 魔王を倒せ!

 赤茶色の不毛の土地だった。俺達は前線の基地に到着する。テントから誰か出てきた。大剣を背負うふわふわとした白髪の鎧を纏う少女。魔力量で分かる。あれこそ魔王を倒せる可能性がある人だと。マリーが色々とエマに説明。そして互いに名を名乗る。


「初めまして。エマと言います」

「ユーダと言います」

 

 握手を交わした。まだ細い手なのに戦場に向かう。この勇敢さを賞賛したい。


「戦況はよろしくないので、すぐお願いします」


 ゆっくりする間もなく、戦場に向かう。数百。数千。悪魔染みた容姿をした者が襲い掛かる。


「エクスパンドエリア! マジックサーキット!」


 複数の魔法陣を空に投げる。


「ファイアボール!」


 魔法陣から炎の弾が降り注ぐ。敵が悲鳴を上げ、焼けて焦げて、朽ち果てていく。火力はゲーム時代よりも遥かに上がっていることを理解する。身体能力だって上がっている。けどこれではだめだ。ジリ貧だ。それに肝心の魔王を討伐しないとミッションクリアにならない。


「エマ! 魔王がどこにいるかは!?」

「塔にいる!」


 土で出来た塔にいるらしい。


「リサーノ、大蛇のどっちか呼んで!」

「大丈夫よ。ファーちゃんがいる」

「全員乗って!」


 マリー、リサーノ、セルマ、俺、エマは大蛇に跨る。


「テレポーテーション!」


 塔の手前まで一気に移動。あまり使わないものだったのでどうかと思ったが成功した。反応からして、頂上にいるだろう。その前に。


「スリープ!」


 敵が地に倒れて爆睡。これでよし。俺達は塔に入り、駆け上がる。どれぐらい経ったかは不明だが、翼を持つ大柄の悪魔二体が立ちふさがる。


「邪魔!」


 マリーがレイピアをやっと使った。セルマの盾を台にして跳躍。奴らに近づき、素早い突きで倒す。俺達は更に上へ。


「この魔力は間違いない!」


 頂上まで来た俺達は魔王と対面する。不気味な白い肌。黒い翼と角。


「死ね」


 魔王による禍々しい攻撃が来る。咄嗟に魔法耐性を上げ、セルマが盾で受け止める。


「ファイアーボール!」


 魔法と魔法のぶつかり合い。その傍らで彼女達に魔法で付与させる。


「せい!」


 レイピアと聖剣の攻撃が魔王の結界で防がれる。魔王は上に逃げようとするが、大蛇の尻尾で強制的に落とされる。結界が機能しているのか、まだノーダメージのままだ。それでも体勢は崩れている。膠着状態が崩壊。攻めるのならここだ。


「エンチャント! セイクリッド!」


 マリーのレイピアの突きで結界が崩壊。その隙にエマが聖剣で斬りつける。これでもまだ倒れないとはしぶとい。けどこれでチェックメイトだ。


「セイクリッドアロー!」


 聖属性攻撃魔法というあまり使わないもの。すっかり忘れていたが……まさかこれを使うとは思ってもみなかった。

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