第4話 エージル流VS始原流
剣道部の主将をあっさり倒してしまい、それでもまだやり足りないらしいカルナを満足させる為に俺が相手をすると宣言し久しぶりにカルナと模擬戦をする事になった。
「では早速しようか、勇者殿」
「ちょっと待て、俺とカルナが本気で打ち合ったら竹刀の方が折れてしまう。だから、"アレ"を使うぞ」
そう言うとアルトは自分の学生鞄から取り出すフリをして、"無限収納"から異世界で最も硬い木と言われている堅樹で作った木刀と木剣を取り出した。木剣はカルナに渡し、アルトは木刀を構えた。
「じゃ、始め!」
リーファの開始の合図とともにカルナは全力で突っ込んで来た。普通ならそう言う正面突破な戦い方は相手に動きが読まれやすいのだが、カルナの実家のエージル家は代々、剣術の家系であり彼女の父、レイス・エージルは王国騎士団の剣術指南役を務めている。
故にカルナも幼い頃から剣を握り、実家の流派"エージル流"を身につけた。自分も召喚当初は彼女の流派を教わった。
だから、彼女が正面から突っ込んできた時に使う技も既にわかっている。
「エージル流 雷閃!」
カルナの木剣から雷の如き速さの横薙ぎの一閃が繰り出された。だが、俺は一歩下がりそれを回避して、自分が覚えたもう一つの流派の技を繰り出す。
(スキル 始原流が発動しました)
「始原流 瞬閃!」
瞬閃は音も光も置き去りにし、斬撃の"速さ"を追求した技であり"雷閃"より速い一撃だ。
パッァァァン
乾いた音が響き、互いの武器に弾かれる。だが、カルナはその反動を利用し、別の技を放ってきた。
「エージル流 三日月の刃!」
「エージル流 三日月の刃!」
カルナの放った技を同じ技で受けた。
「流石だ、勇者殿、あの頃と全く衰えていない剣技、強靭な身体能力、全てを見抜くかの様な鋭い観察眼、これらが揃っていれば私では勝てないのは明白だ。だが、私は少しでも追いつきたくてあの日から更なる努力をしてついに勇者殿も使ったあのスキルを会得した、この一撃に私の全身全霊を賭ける!」
するとカルナから凄まじい程の霊気溢れ出した、間違いなく本気でくる気だ。
なら、自分もそれに応えるためにイーナとエリーゼに目配せして即座に周りに認識阻害の結界を張ってもらった。これで周りには俺たちが激しく撃ち合いしてる様にしか見えないだろう。そしてスキルが発動した。
(スキル 霊装が発動しました)
「轟け! 雷速の剣!」(タケミカヅチ)
「降臨せよ!神竜の剣!」(バハムート)
カルナからは電撃が迸る刀が、俺からは白金の輝きを放つ長剣が現れた。
「行くぞ、勇者殿!」
「来い、カルナ!」
そして、ほぼ二人同時に駆け出し、お互い全力の一撃を放った。
「エージル流奥義!桜花爛漫の剣舞!」
「始原流奥義!九頭竜大乱舞!」
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