第3話 学校案内

突然俺のいる高校に編入生としてやって来た異世界での俺の元パーティメンバー

剣聖カルナ

魔導士イーナ

賢者リーファ

聖女エリーゼ


休み時間になるや否や4人に色々な質問をするクラスメイト、異世界の事を言っても多分、真面目に受け取らないだろう。ただ、1番厄介なのは4人が俺のことを未だに勇者と呼ぶことだ、彼女らが俺をそう呼ぶ度にクラスメイトからの視線が痛い、男子ならより一層にだ。


そして一日中クラスの視線に辟易しながら放課後になったところで先生から頼まれごとをされた。


「学校の案内ですか?」

「ああ、彼女達は今日編入して来たばかりだ。東城は彼女達と面識があるみたいだし、知っている人に案内してもらう方が気疲れしないで済むだろう、だから頼むよ、勇者様♪」

「ぐっ、分かりました(やっぱりからかってるな)」

他に適任者がいないのも事実な為、仕方なく4人に学校案内をした。先ずは校舎内から説明し、他の教室、図書室や家庭科室や美術室などの移動教室、放課後はアウトドアな生徒が使う校庭や文学系やインドア系の生徒が使う部活棟と体育館と案内した。一通り案内し終えたところでカルナが昼間クラスメイトに聞かれた剣道部というのを見てみたいと言ってきたので体育館に向かう。俺の通ってる学校は割と有名な中高一貫校なため生徒の為の施設も充実している、うちの体育館は三階建てになっていて、1階がバスケ部、バレー部、バトミントン部、卓球部の球技系、2階は倉庫になっていて結構授業や部活で使うものが色々入っている。そして3階が柔道部、空手部、ボクシング部、弓道部、剣道部と、武術系の部が使う所となっている。早速剣道部がいる体育館3階に来てみると、活動前の準備体操中だった。すると、部長らしき女生徒が俺たちが来たことに気づいてこちらにやって来た。


「おや?君達は確か、噂の編入生達だね。体験に来たのかな?」

「ああ、希望者は私だけだが」と俺がそうですという前に答えたカルナ。

「じゃあ、ちょっと待っててくれ、もう少しで準備体操が終わるから、竹刀はそこにある貸し出し用のを使うと良いよ、あ、自己紹介が遅れたね、私は三年生主将で部長でもある剣持桜華(けんもちおうか)だよ。よろしく」軽く会釈すると戻っていった。


「流石に勇者殿程ではないがそこそこ強いのかもしれないな」と呟くカルナ

「いや、カルナ、あれが普通だからな」と一応注意しとく俺

「確かに、勇者様の世界には魔物はいないと聞きましたから、そこまで強くなる必要はないということでしょうね」と日本のことを俺に聞いていたエリーゼ

「お待たせ、準備できたよ。確か....カルナさんだったかな、剣の腕に自信があるって聞いてるから基本は出来てるみたいだし、部員の誰かと模擬戦してみるかい。カルナさんが良ければだけど」

気がつくといつの間にか既に道着に着替えた剣持先輩がいた。


「なら、私の相手は貴方が良い」

いきなりカルナは部長の先輩を相手に指名した。いや、それでもカルナの方が強いのは分かっているが、相手からしたら挑発とも取れる行為だと分かってるのだろうか。

チラリと先輩の方を見ると、


「分かった、相手になろう!じゃあ、審判は君がしてくれ!」

「私?別に構わないけど」審判はリーファが務めることになった。


そんなこんなでカルナ対剣持先輩の模擬戦が始まろうとしていた。

「両者、準備はいいわね?それでは、始め!」


バシィッ!


リーファが開始の合図と同時に既にカルナが先輩に胴を入れていた。

「えっ?何が起こったんだ」

「剣持先輩がやられるなんて」

「全然見えなかったっていうか始まったと思ったら終わってた」


周りでは他の剣道部員や遠巻きに他の部員が見物に来ていた。だけど、俺には見えた。あれは俺も持っているスキル、"縮地"だ。開始の合図とともに"縮地"で一瞬で先輩の懐に迫り、一撃を叩き込んだらしい。


「容赦のかけらもない」

「まぁ、カルナさんは真面目な方ですから、

やるからには常に全力が信条ですから」

イーナとエリーゼがカルナの性格を知ってるが故の感想を漏らす。

バタッ!

そんな音をたてて先輩が倒れた。よく見ると胴当てのカルナが一撃を入れた所が少しヒビが入っていた。どれだけ強打したのかがよく分かるほどだった。尚、先輩は即座に保健室へ運ばれた。


「なんだ、様子見のつもりだったのだが

まぁ、いいだろう。次は誰が相手になってくれる?」


カルナが次の相手は誰かと聞くが、剣道部内で一番強かった先輩を一瞬で倒してしまったから誰も相手を名乗り出るものはいなかった。これ以上はここにいる意味もないのでカルナを下がらせようにもカルナ的にはまだ不完全燃焼みたいだから、ここは俺がひと肌脱ぐことにした。


「じゃあカルナ、俺が相手になろう」

「勇者殿が?まぁ、いいだろう。それにまた剣の稽古をつけてもらうと約束したものな」


こうして俺対カルナの剣術対決が始まるのだった。





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