トリトメカノンはお人形じゃありません

@Dansei

第1話 犬も歩けば、歩けども...?なんだっけ。

 近所には桜は咲かないけれど、歩道に植えられた名前も知らない木の緑も、今日は凄く綺麗に見えました。

 4月になって、新しい制服を着て、ちょっとお化粧も頑張って、私は今日から高校生です。


 あの歩道には、何メートル間隔で木を植えているんだろう。

 これから毎日、あの道を通るんだよね。楽しみ。

 不安はあんまりありません。期待と高揚感だけを持って、私は学校へ向かうのでした。

 鳥の声も、木漏れ日も、エンジン音も、パン屋さんの匂いも、全部が新鮮でした。パン買っちゃおうかな。


 ...カバンを家に忘れていたことは、ここら辺で気が付きました。



 校門には、先生が立っていました。入り口にクラス表が貼ってあると教えてくれました。今日1番のドキドキで、体が熱くなる感じがしました!

 先生への挨拶もきっと上手に出来たと思います!先生もニコニコしてました。


 なんとか人と人の隙間からクラス表を覗きました。私は1年5組でした。名前は意外とすぐ見つけられました。


 入試で来た時は見る余裕も無かったけれど、校舎は凄く綺麗で、広くて、みんなもキョロキョロしながら教室に向かっていました。


 1年生の教室は3階にあります。教室のドアを開ける瞬間は、なんだか不安の方が大きくなっている気がしました。

 カバンと一緒に不安も持ってきちゃったのかもしれません。


 ともかく、そうして私の高校生としての生活が始まったのでした。


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