第13話修羅場が始まったのだが?

戦闘による経験値によりスライムのレベルが上限に達しました。


スキル【魔法解析】が解放されました。


対戦者よりスキルを入手しました。


スキル【神級身体強化魔法】入手しました。


マスターへのスキル付与がなされます。


スキル【魔法解析】が付与されました。


スキル【神級身体強化魔法 】が付与されました。


ゲリンの神級魔法の他に【魔法解析】というスキルが手に入ったな。聞いたことがないスキルだ。後でどんなモノか確認しておこう。


そんなことを思っていると。


「ア、アル様ぁ!」


バフっ!


いきなりリーゼが飛びついて来た。


「リーゼ、もうアル様のモノのになります!」


そう言って、俺を押し倒すとグイグイ唇を押し付けようとしてくる。


いや、リーゼは妹のような存在で、異性として意識したことがなくて。


「ちょっ、ちょっと待て、リーゼ! 落ち着け! 俺達兄妹みたいなもんだろ?」


「あら、そんなことを思っていたのはアル様だけですよ。安心してください。このまま勢いに任せてアル様を押し倒そうとか。……決して、そう決してアル様と既成事実を作ってしまおうとかそういうやましい気持ちはありませんので。本当なんです、ええ、決して!」


いや、もう押し倒してるんだが?


「さあ、アル様しばらく我慢してください。大丈夫です。ちょっと、お日さまがまぶしいかもしれませんが、今日は雲の数が多いので、雲の数でも数えて頂いていれば、なにすぐ済みます」


「な、なにをする気? ど、どうしてそういうことになる!……て、ちょっと、おい! ズボンを脱がせようとするの止めろ!」


リーゼが俺のズボンに手をかけて脱がせようとしてきたので必死に抵抗する。……が、今度はひしっと俺の胸にしがみついてくる。女の子に乱暴なことができる訳もなく。誰か助けて。


「ああ、アル様の汗の匂い……クンクン。ずっとこうしていたい……幸せ」


俺は倫理感に苛まれて地獄なんだが?

「アル様……正直になっていいんですよ。私、外の世界で奴隷がどんな存在かが良くわかりました。アル様はきっと、人が良いので、こういう事しなかったんですね。正直になってください。――――私はいつでも、どこでも大丈夫です!」


いや、いつの間に何があったの? 俺、困るんだけど?


「だ、誰か助け、助けてぇ!」


いや、どうしよう? 力ずくで何とかしたくないし、俺も男なので、これ以上可愛いリーゼにあまり密着されると理性が。すでにリーゼの柔らかい身体や胸の感触がヤバい。ああ、何気にいい匂いもする!


そんな時、救世主が現れた。


「ア、アル……一体何してるん? 私というものがありながら?」


いや、むしろかえってヤバかった。そこに現れたのは幼馴染のクリスだった。


「ち、違うんだ! 俺はただ、リーゼを助けていただけなんだ。誓ってやましい事はしてない」


「あっ♪ ベルトが外せた♪」


「リーゼぇ! 俺のズボンを下ろそうとするなぁ!」


はっとして、クリスの方を向くと。鬼がいた。


「ま、待て、待ってくれ! 何、魔力高めてんの? まさか魔力弾ぶち込むつもり?」


「当たり前やろう! この浮気者! 尻軽!」


ヤバい、クリスは怒ると関西弁になる。今、クリスが激おこぷんぷん丸なのは間違いない。


でも、どうして?


「「この女、誰よ!!」」


二人の声が重なる。


「いや、こっちが俺の幼馴染のクリスで、こっちが俺の領にいたころの俺の世話係で、俺の妹のような感じの使用人でリーゼって言うんだ。ホント誤解だから」


リーゼが俺の上から馬乗りになった状態から降りて、クリスと対峙し始めたので、俺はベルトをカチャカチャと締めて、クリスに弁解しようとすると。


「あなたが負けヒロイン確定の幼馴染のクリス様ですね。私はアル様のお世話をさせて頂いているリーゼと申します。毎日……毎晩お世話をさせて頂いております」


ぽッと頬を赤らめて、リーゼは服の袖をつまみ、可愛い仕草をする。


余計勘違いが増えるのだが?


「そ、そうなのね。アルは貴族で、あなたは使用人。その隷属の魔法陣、あなた奴隷ね。あなたが毎晩アルの夜の処理の相手をしていたのね。そやけど、今日からは大丈夫。亜人のあなたなんて、アルは相手にせえへんわ! アルのことは今日から私が毎晩お相手する!」


いや、クリス何言ってんの? 夜の相手なんて、俺達の年齢だと早すぎるし、貴族のクリスがそんなことしていい訳ないんだが。俺がクリスの父上に合わせる顔がなくなるのだが。


「亜人ごときがアルの伴侶を狙うなんて許されへん! 亜人ごときぃ!!」


いや、クリス、お前、何言ってんの? 散々亜人のことを考えてきて、『亜人と私たちに何も違いがない』って言ってたよな? 言ったよな?


「ク、クリス? クリスは亜人には理解があるはずなんだが?」


「この子は例外なの! この子が誰であろうが、あかんの! 例え、王族だってダメ! 王族ごときにだってアルを取られたないのぉ!」


う~ん。クリスが俺のことを好きだと言ってくれるのは嬉しいのだが。


クリスは侯爵家の令嬢、好き嫌いで結婚もお付き合いもできない身分だ。


絶対クリスはそのこと忘れてる。


リーゼも俺のこと好きなのは嬉しいけど、俺にとって妹みたいな存在だったし、いきなり関係を迫られると困る。俺達それはまだ早い年齢だし、リーゼは自分が奴隷だから構わないって。


俺はそんなことは許せない。俺にとって、リーゼは妹、家族なんだ。断じて奴隷としてなんて扱わない。


そんな俺の想いをよそに、二人に言い合いは過熱して、遂にグーでの殴りあいが始まった。


なんか、修羅場が始まったのだが?

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