第34話支援職はエルフの里を救う2
俺はアリスとクロエに合流すると、クロエをお姫様抱っこしてアシュフォードの街目がけて疾走した。
アリスはには後から追いついて来てくれと伝えた。この辺は強い魔物は出ない。それに万が一のために上級符術隠ぺいや強力な符、それに転移の符を渡した。
「クロエ、アシュフォードの街の近くにダンジョンはあるのか?」
「ひ、一つだけあるの。ひぃ!」
クロエは大きな木に激突しそうだったので思わず悲鳴をあげた様だ。
だが、構わず木をへし折って突き進む。
ダンジョンは一つだけか、助かる。
つい、詳しく聞き出す前に怒りのあまり先程の賊を殺してしまったが、目的地は幸い一つに絞られた。
そして、アシュフォードの街の近くに到着する。
「クロエ、時間が惜しい、ダンジョンの場所がわかるか?」
「すいません。僕も知らないの。知識でしか知らなくて、場所までは、ごめんなさいなのね」
「気にするな。問題ない」
俺は探査のスキルを発動した。
探知は受け身のスキルだが、探査はこちらから魔力を送り込んで反響で相手の情報を得る能動的なスキルだ。従って相手にこちらの存在が気がつかれる恐れがある。
だが、時間がないのでやむを得ない。
「あった。クロエ、安心しろ。ダンジョンの位置がわかった。200人近くはいる。その内、賊は100人といったところだろう。残りはおそらく君の同族だ」
「100人もみんな生き残ってるのね。良かったのね」
「まだ、助け出した訳じゃない、気を引き締めて行くぞ」
「はい」
何故か顔を赤らめるクロエ。熱でもあるのか?
☆☆☆
ダンジョンに着くと入り口には見張りがいた。
この付近は街からかなり離れている。
おそらく魔物が出没しないダンジョンなんだろう。
魔物は討伐すると魔石と引き換えに金になるし、ドロップアイテムで稼げる。
だから冒険者などの稼ぎ場所になる。
だが全てのダンジョンに魔物が出没する訳ではない。
魔物が出現するダンジョンは魔王や魔族が作ったダンジョンと言われている。
全ては聖典に書かれている1000年前のことだから真偽のほどはわからない。
故に天然のダンジョン、洞窟には魔物は発生しない。
魔物がいないから誰も近づく者がいない。
賊にとってはうってつけの隠れ場所だ。
俺は早速ダンジョンの見張りに挨拶する事にした。
「やあ、ここは盗賊団のアジトという理解でいいのかな?」
「な? お前馬鹿か? たった2人でこんなとこに何をのこのこと?」
「いや、相棒、良く見たら中々のベッピンのエルフの女を連れているじゃないか」
「ちげえねえ。これは鴨がネギ背負って来やがったぜ!」
「この男はさっさと殺して……」
「女は散々犯して殺すか?」
「だな、俺、女殺すのたまらないんだ! 早く殺してぇ!」
こいつらの処分は決まったな。それとここが盗賊団のアジトで間違いない。
ズシャ
「ひぃ」
クロエが思わず悲鳴をあげる。まあ、無理もないか。
俺は無造作に見張りの2人を殺した。
悪人に人権は認めん。俺はそういう主義だ。そもそも……こいつら人間じゃない。以前出会った魔族とも違う。半魔族? 確かに魔族と人間の中間のような姿だ。
だが、半魔族だなんて、聖典にも記述がない。半魔族とは一体?
しかし、今はそんなことを考えている時間はない。
早くエルフの人たちを助けないと。
こいつらは人じゃない、ならさっさと片付けるのみだ。
見張りの二人は俺の斬撃を数千回喰らって一瞬で粉々に爆散した。
「行くぞ、クロエ」
「は、はい、行くのね、レオ様」
俺達はダンジョンを進んだ。
残念だが魔物が発生するダンジョンと違って壁や床がほのかに光が灯るという事はなかった。天然のダンジョンの困った点だ。
俺は符術の一つをきった。ライトという光の魔法、要は松明の代わりだ。
200m程進むと大きな扉があった。
ここに来るまでにもいくつもの罠があったが、俺は探知の魔法で全部避けて来た。
そして、このドアの向こうには、100人近い半魔族と思しき反応がある。
おそらく賊が待ち構えているのだろう。
罠の中にはセンサーの役割をはたしている物もあった。当然侵入はバレている。
「レ、レオ様?」
「安心しろ。クロエ」
俺はクロエの頭に手をやると、やはりクロエは顔を赤くする。
こいつ風ひいてんのか? 終わったら、病院に連れて行こう。
そう思いながら、俺は無造作にドアを開けた。するとやはり待ち構えていた賊が魔法をかましてくる。
俺はそれを手で振り払った。
魔法障壁の符で守られている俺にとって低ランクの攻撃魔法など、火の粉を払うのと同じだ。
「え? そ、そんな事なんでできるの?」
「な、何で? 何なのそれ? どうやっったらそんな事できるの?」
不満の多い奴らだな。
もちろん剣も使わず黙って殴る。
「へ? へぐっ?」
「あ? あべっ?」
いきなり俺に魔法をぶっ放した2人の賊は俺に殴り飛ばされて壁に激突する。
音速で激突した2人は木っ端微塵に爆散する。
肉片すら残らない。赤いしみだけが壁に残る。
「さあ、人の平和を踏み躙っておいて、自分達だけぬくぬくと生きていけると思うなよ!」
俺は賊、100人に対して啖呵をきった。
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