第4話 有効的に使おう、石鹸を
朝の活気溢れる声たちによって、俺は寝床から目が覚めた。
グッと背伸びをして朝の空気を思いっきり吸って吐く、お腹は空いてるけど今日の調子はいい感じだ
今日は石鹸を使って身体や服を洗おうと思う
寝床から出て、早速バケツ二つを用意しよう!
と意気込んで路地で探すものの、放置されたり捨ててあるバケツは穴あきやボロボロで使えなかったり見つかっても小さすぎた、コレは子供用だな……。
俺は仕方なく肉屋のおっちゃんを頼りに行った。
肉屋のおっちゃんの所に行くと肉の香ばしく良い香りが広がっていた
お腹すいちゃうなぁ…
肉屋のおっちゃんは俺が言ってた通りに炭を使って肉を焼いていた様で、そのおかげで売り上げが伸びたと言って串焼き2本とお金を少し恵んでくれた
嬉しい。
そして一緒にいたらしい奥さんも来てくれて、俺の頭を仕切りに撫でてくれた
汚れちゃうよ
と言っても
「子供が遠慮しないの!」なんて豪快に笑いながら撫でてくれるもんだから、恥ずかしい嬉しい気持ちになってしまう
少し誤魔化すように串焼き2本を食べた。
しばらくして撫でるのが収まると奥さんに
申し訳なさ全快で、バケツが欲しい事を言うと
「奥さんが家が近いから待ってて」と言って、しばらくしてバケツを二つ、それと柄杓をくれた。ボロボロだけど捨ててあるバケツよりずっと綺麗で
「ありがとう!」と言ってバケツを重ねて柄杓を入れて抱えて寝床に戻った。
寝床に戻って一つのバケツを置いてから、もう一つのバケツを持って、噴水の水を汲んできた
噴水の水は冷たくて相変わらず清潔だ。
水の入った重いバケツをえっちらおっちらと寝床に戻ってもう一つのバケツを持ってまた噴水の水を汲む、こっちは服とかを洗う様だ
ようやく寝床に戻ると柄杓を使って軽く水浴びしてから石鹸で体や顔、髪を洗った
石鹸は泡立ちが良くていい匂いがして、そんじょそこらの石鹸では無いと思った
少なくとも、この街の庶民の石鹸は泡立ちが悪い
それでも綺麗になるし、ある程度の臭いも取れる
ホントに最低限の物なのだ。
品質は正直微妙だけど汚れは落ちるから問題は無い
と言った感じ
高級な石鹸を下手なことに使うとは…
あの変質冒険者、そこそこ稼いでやがる……
さてはて、久しぶりの水浴びは気持ちよかった
とても汚れていたせいか、水で流した泡はとても汚れていて、そしてすぐに汚れが落ちる石鹸
何日も洗ってないはずだし、もう1回石鹸で全身を洗った。
身体が綺麗になったら、全裸のまま服を洗う
体を洗うために使ってたバケツの中にまだ水があるからそこに全部の衣類やら布をいれて石鹸で泡立て
足で何度も踏み込む
混ぜて踏み込んで混ぜて踏み込んでを繰り返して
もうひとつのバケツで泡を濯ぐ
多分清潔になったと思う
寝床に使ってる木箱になるべく重ならないようにして洗濯物を置く。
正午には自分の寝床にも太陽が差す
今日は天気も良いし全裸でいても風邪ひかない
ようやく乾いた頃には昼過ぎになったが
服はポカポカしていて微かに石鹸の香りがする
服を着て、綺麗なった袋に全財産を入れて
ゴミ捨て場で拾った蔦…ぽいもので、作った
カゴ、ちなみにコレは記憶が戻る前に作ったやつ
空腹と戦いながら作った俺すごい
さてと、市場に向かう
串焼きとか屋台飯なんかは今持ってる金額がすぐ無くなる、狙うのは市場の果物
ダンジョン産の果実で
星空のさくらんぼ (別名:スターリースカイチェリー)
地球のアメリカンチェリーみたいな黒いサクランボと大きさと味が然程変わらないが
星空のような模様がある
ちなみにただの果実
この街のダンジョンの木々に生えているらしい
すぐに取れるので初心者冒険者向けで沢山採れる
安くて甘い庶民の味方
ダンジョン産だから年中食べられる
だから安い
カゴいっぱいに入れてもらっても500円程度
気前が良かったのか
熟しすぎて売り出せないナシも3個貰った
ちなみに売りに出せないだけで
食べられる
見た目は西洋梨やラ・フランスに近い
早速ベンチを見つけて、さくらんぼを食べる
ナシの方は明日辺りにでも食べようと思う
今日はちゃんと食べてるおかげか調子がいい
ある程度さくらんぼ食べ、噴水で水を飲んでから寝床に帰った
帰ってすぐ、寝床の木箱の上にカゴを置いて
その上に隠すように布やら服やらを置く
それが終われば漸く俺は寝床で眠りにつく
今日は沢山動いてたくさん食べたせいか
とてつもなく眠い……
子供の身体もあって、すぐ眠った
翌朝、眠たい目を擦りながら起きる
そこで、自分の匂いが石鹸の匂いだと言うことに気づいた。
(……まぁ、大丈夫だろうけど
スラムで汚い匂いがしないのは驚かれるから
気をつけよう……)
解決策なんて思いつかない
悩んでも仕方ない
さくらんぼと貰ったナシに手を伸ばして食べる
今日は何をしようかと頭を巡らせた
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