第3話 いいものを発見

深夜です

起きました


Q.何しに?


A.トイレです、あと喉乾いた


水飲んでなかったからね

水の確保は……まぁ、街の噴水や

用水路である


汚ぇとかいう前世の自分が呟いた気がするが

俺もそう思う


でも飲まなきゃ死ぬ


噴水ならまだ飲める、噴水には浄水機能がついてる魔石が埋め込まれてるからだ

上に水出して空気に触れてる時点でアウトじゃね?なんて思うが

浄水とかしないと詰まるらしい

ので浄水


ありがとう考えてくれた人


トイレは街の各所に設置されてる共同トイレ

スラムやホームレスがよく使うけど

普通の人も使う

それなりに綺麗だし、そこで人を去らうなんて事は意外と無い、街中にあるから多分

人の目を怖がってるんだろう


用を足し終えたら噴水に行き水を飲む

浄水してくれるおかげで飲める水があるのは有難い


ふと隣を見るとスライム達も、せっせと飲んでいたが1匹だけめちゃくちゃトロイ

未だ足元にいる


「ほら、生きるためだもんな」


ほかのスライムの隣に置いておく

器用に飲み始めたのでほっこり、可愛い


なんて思ってたら不審に歩く人発見


スラム育ちを舐めないでくれ

こうゆうのには敏感なんだ


(あーヤダヤダ、人殺しとかやめてくれよ)


なんて思ってたら急に曲がる

……あの路地はそこそこ人通りがある

それも一部の人間しか集まらない


なんてことないフリしてついて行くと……うん、やっぱりウロウロしていた


ここは女性の冒険者ギルドの人が寝泊まりするギルド専用の寮がある

治安も良く安くてとてもいいから女性冒険者だけの宿もあったりする

ただし完全に男性の行き来が無いという訳でもないので野郎1人来ても問題は無い


が、アイツはやべぇ……あ

そうだ、早速拾った鑑定魔道具バリューマジックアイテム使おうか


ヤバいおっさんなら何とかボコって

財布盗ろ…あ、でもとったら身分証作るのにてまどっちゃうかな…やだなぁ……


【ダニエル=ネルソン・アトゥーン

魔力:有 体力:無し

職業:冒険者

ストーカー中

好意を抱いてるギルド職員の女性を追跡

追跡能力と足運びは高い】


このヤロー、冒険者の風上にも置けんやつだな…


付いてって、途中でボコボコに出来そうならしたいけど、見た目的に強そうなんだよな…


不審なオーラと不気味なねっとりした感じ


思わず、俺は暗闇の中で息を殺した。目的地はもうすぐだ


ストーカー野郎は何度もこの道を歩いているのか迷わず目的の人物と思われるの住む寮の前まで来たが、サッと壁の影に隠れた


さすがギルド職員、警戒心は怠らない様で辺りを見渡して警戒しながら鍵を出して部屋に入った。


どうやら視線を感じたのかもしれない

多分俺のせいだろうけど

気づいてないからセーフと思っておこう


ストーカー野郎は周囲を警戒しながら、女性の部屋の郵便受けに近づいて、彼は郵便受けの蓋をそっと開けた。

ストーカー野郎は中に手を入れて、彼女の手紙や雑誌や広告を掴んだ。


何をするんだ……?

と思ってた次の瞬間


郵便受けに顔に押し付けて、女性の部屋の匂いを嗅いだ。

微かにこちら迄漂う、甘い様で爽やかな匂いだった、香水と言うより、柑橘類の匂いがした



ストーカー野郎はその匂いに酔っていて、気持ち悪いくらいの顔をして、くねくねしていた

やめろ馬鹿野郎


ストーカー野郎はポケットから石鹸を取り出して石鹸を郵便受けに入れた


変態のバカはここにいます、誰か助けて(呆)


ストーカー野郎は満足そうに微笑み、手紙やら広告やらを郵便受けに戻してからは足早に立ち去っていった


コレは、好機とか言うやつでは無いのか?


実は、俺は石鹸が欲しかったのだ

自分の身体や服が汚れていて不快であるうえに清潔になれるし、ある程度の風邪予防にもなる


俺はストーカー野郎が入れた石鹸を見つけた時に目を輝かせ、どうにかしてでも石鹸を手に入れたかった


ストーカー野郎と戦える自信がなかったから、最後の最後まで気づかれなくて良かった、ほんと良かった


マジで心底良かった


とはいえ、さてどうしようか


なんて思っていたら、スライムが足元にいた


そのスライムは……よく見たらさっきの水飲み下手くそなスライムっぽい


……スライムはほぼ液体で、前世の小説だと小さい隙間に入られたりしてたし

こちらの知識でもスライムの仕業だったりする…と



ならばと思い


「なぁ、郵便受け、あの紙束の隙間から石鹸だけ取れるか?」


なんて言ってみる


俺は周りを警戒しながらスライムを連れていき

ドアに近づいて指さし、身振り手振りで石鹸だけを取り出してくれるように頼んだ。



スライムは俺の言葉が分かるような気がした、今まで生きてきた中でそんな感覚は無かったはずだった

ほぼ直感に近かったけれどスライムは俺の頼みを聞いてくれた


スライムはノソノソ…と、ドアを伝って郵便受けの隙間から中に入っていった



しばらくするとスライムが出てきて石鹸だけを吐き出した、胃袋に入れて持ってきてくれたらしい



嬉しい気持ちと、感謝の気持ちが溢れ出て、スライムを抱きしめた


「ありがとう、めちゃくちゃ嬉しいッ!」


こんなニヤけるくらい嬉しいのはこの世界に生まれてきて初めてかもしれない


「ほら、もう大丈夫だ

ありがとな、ここ(ギルド職員寮)なら

テイマーにでも拾われるはずだから

ここでお別れな、元気でな」


優しくスライムを撫でてから

俺は石鹸を大事に持って帰った


夜も更けた頃だし、明日はバケツ探しからだなと思いながら自分の寝床に戻った

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