第2話

本巣欄が突然、デーモン阿多浦の目の前から消えた。

空間が歪に歪み、七色に変わる。

デーモン阿多浦は途轍もない計算能力で

本巣欄の現出位置を弾き出し、正拳突きを

放った。

「語ワーッ!」

怪物が叫び声を上げて姿を現した。

胴体に穴が空いている。

怪物が胸を張った。

穴はブラックホールだった。

「死間ッ多」

デーモン阿多浦は不用意に正拳突きを放ったことを

後悔したがもう遅かった。

阿多浦がブラックホールに吸い込まれそうになった。

必死で踏ん張る阿多浦。

「消滅」

阿多浦が呪文のようにそう叫ぶと、ブラックホールが

小さくなっていき、やがてなくなってしまった。

「苦阻ぉーっ」

本巣欄はそう叫ぶと、捨て身の攻撃に出た。

体を超猛毒細菌βーF359に変換させて、阿多浦の口から

入り込んだのだ。

「愚汚―っ」

苦しみにのた打ち回る阿多浦。

「餉餉餉餉餉餉(けけけけけけ)」

本巣欄が勝鬨(かちどき)を上げるように奇妙な声を

出した。

阿多浦はスーパー解毒剤Ю(ユー)4445を自らの

体内に循環させたが、効果はまったく見えなかった。


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