核弾頭を喰らう(反運命論)

@k0905f0905

第1話

 「危、危、危、キィーッ!」

異世界の盟主、デーモン阿多浦のペット、獣人猿のキーチンたちが

盛んに吠え立てた。

「何か危機が迫っておるのか。キーチンたちよ」

阿多浦がキーチンの一匹を抱え上げ、頭を撫でた。

「右方、右方、ウホッウ」

「右側の森の奥から何かがやってくるようだな」

阿多浦が孔雀椅子から立ち上り、びっこをひきながら

右側の森の方に向かった。

阿多浦が途中で立ち止まった。

森の奥から本巣欄(もとすらん)が顔を見せた。

本巣欄は火星を飲み込むことができるという

化け物で神出鬼没の怪物だった。

デーモン阿多浦は異世界拳法の達人で、右回し蹴りの風圧だけで

銀河系を動かせる実力の持ち主だった。

「愚ワァーッ!」

本巣欄が五本の前脚で勢いよく立ち上がり、阿多浦を

威嚇した。

阿多浦が本巣欄に正対して立ち、人差し指を向けた。

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