第21話 聖女様はわからせる②


「遅いですよ?由良くん。何してたんですか?」



「ちょっとな……」



 いつもの校舎裏に行くと御園は不満げに口を尖らせる。

 誰のせいだと思ってるんだ??



「あのさ…御園?」



「なんですかぁ?」



 抱きつくつもりだろう。

 御園はゆっくりとこちらに近づいてくる。



「小林さんをこの間ここに呼んだんだって??」



「あぁ……ええ、呼びました。」



「なんでそんなこと…バレたらやばいって話しただろ?」



「……本当に」


「本当に分かりませんか?」




 そう言う御園は熱っぽい視線を俺の目から外さない。



「私がなんでそんな事したのか、分かりませんか?」



 流れる様に俺との距離をゼロにしてぎゅうっと抱き締めてくる。



「私は……あ…あの……何ですか?この匂い?」



「え??匂い?」




「由良くんの体から女の匂いがします…」




 ゆらりと俺の胸から顔をあげたかと思うと逃がさない、といった雰囲気を漂わせじぃーっと睨んでくる。



「気のせいじゃn」



「由良くん。こういう時は嘘はダメですよ?」



 ニッコリと綺麗な笑顔をしているが圧がすごい……。


「あ、はい…」




 俺は先程の小林さんとのやり取りを会話の内容含めて供述した。





「あの女…」



「え??」



「いえ…なにも……」



「今日は時間制限なしですからね?私が満足するまでぎゅってして貰いますからっ」



「いや…それはちょっと……。やばいんだけど……」



「知ってます…。由良くんがいつも30秒をギリギリ耐えてるの……。私を襲っちゃいそうなんですよね??今日も頑張って性欲を抑えて下さいね…?」


「私は襲ってくれてもいいんですけど………襲って?」




 そう言って妖艶な表情を見せた御園は、ぐりぐりと顔を俺の胸に埋めてきた。




「由良くんに私の匂い擦り込むからっ♡」




 もう心を無にするしかない……。

 永遠とも言える長い時間を俺は耐え忍んだ……。









 〜〜〜〜


 あの女……小林さんをあの日ここに呼んだのは紛れもなく私。



 由良くんと抱き合ってるのを見せつけてエッチな関係だって、あなたの入り込む余地なんてどこにも無いんだって分からせてやるつもりだった。




 だけど由良くんに抱きつくなんてっ……!




 いつも抱きついた時に由良くんの匂いで性よ…心を満たしているのにっ……!



 私の由良くんに誘惑する様な真似するなんて許せません。




 まだ足りない様ですね……。




 由良くんには怒られるかもしれない……。







 どうしてくれましょうか……。











 〜〜〜〜



 ラブコメ日間9位、週間20位\(^^)/

 ありがとうございます✨


新作書きました。


聖女様が義妹になったので家に帰りづらいです〜実は美少女な地味子の家に避難します 


読んでいただけると嬉しいです✨


(こちらの聖女様とはなんの関係もございません!)



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