第20話 聖女様はわからせる①
「待って、由良くん」
あれから数日、放課後になって御園に少し遅れていつもの場所に行こうとしていたら小林さんに声をかけられた。
「なに??」
「ちょっと、ここだと話せないから一緒に来てくれない?」
そう言われてたどり着いた空き教室で小林さんは話し出す。
「ねぇ、由良くんと御園さんって友達なんだよね?」
「まぁ、うん。」
「友達って……あんなことするの?」
顔に影を差した小林さんは怪訝そうにこちらを見つめる。
「あんなことって……?」
嘘だろ…?なんで……。
「私、見てたんだよ……?」
違うよな? 違う…大丈夫……。
「由良くんと御園さんが抱き合ってるところ」
「…なんか怪しいなぁって思って……ついて行っちゃった」
っ……!
「と、友達でもそれくらいする人も居るんじゃないかな?」
「友達なの?本当に付き合ってないの??」
「ああ……」
つきあってはない…。
「そう……なら私ともできるのかなぁ…?」
「お互いの身体がグチャグチャになるまで求め合う、とか」
小林さんは腕で身体を抱き締め恥ずかしそうにしながら俺に死刑宣告を言い渡した……。
ばっちり会話も聞いていたらしい……。
「もしかして2人はそういう仲なの?せ、せふれとか…」
どうする…どうすれば……。
「由良くんって髪切ってすごいカッコよくなったよね…。
切る前からいいなって気になってたんだけど、好きになっちゃったんだよ、私」
「ごめん、俺好きな人が……」
「っ……!だよね…でも……私も……」
一回くらいならいいよね?
そう言って彼女は抱きついてきた。
「はいっ…! おわりっ。ごめんねっ?」
そう言われて勢いよく俺の体から離れた。
急に抱きつかれたけど、ただそれだけだった。
「でも御園さんも悪いと思うなぁ……あんな意地悪するんだもん」
「???御園が何かしたの?」
「えっと……。言うつもり無かったけど…私を由良くんと御園さんがハグしていたところに呼んだの、御園さんだもん……」
はぁ???
「でも気をつけたほうがいいよ?校舎裏とはいえ誰が来るかなんて分からないんだから」
「ああ、ありがとな…」
「それと…御園さんに飽きたら私に乗り換えてくれてもいいよ……?なーんてねっ」
そう言い残すと颯爽と教室を出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます