第19話 聖女様と隣の美少女

 今日の教室内はいつもと様子が違っていた。



 御園が俺に話しかけ、すぐそばで喋っているからである。



 隣の小林さんも驚いた様子でこちらを伺っている。



「由良くん、と御園さんって……その、仲良かったんだ?」



「そうですね…やんごとなき仲かも知れません。」


 そう言って御園は俺の身体に触れてくる






 聞き耳を立てていたであろうクラスの連中、男子は大きく嘆き、女子は黄色い声を上げるものもいる。




「へ、へぇー……。そうなんだぁ……。つ、付き合ってたりするのかなぁ??」



「いえ……それは」



「付き合ってないよ」



 万が一、御園と俺が元セフレだなんてクラスの連中にバレたらやばい……。

 やばいとか言うレベルではないくらいにやばい……。

 やっぱり止めておくべきだったんじゃ……。




「そうなんだ……(ホッ)」

「でもなんて言うかすごく距離が近いと言うか……?」



「それはやんごとなき」

「気のせいだろっ?気のせいっ……!あはははは…」



 御園はなにと言おうとしてるのか

 俺は被せる様に誤魔化した。



 小林さんは怪訝な顔をしてるけど、大丈夫だよな??






 放課後



「なぁ、喋るのはいいんだけど流石にああいうのはやめない?」



「なにがですか??」



「っ…だから…身体に触れてきたり、何か仄めかしたり、さ?」



「どうして??」



「どうしてって……まずいだろ? 俺たちの関係がバレたら」



「私たちの関係……それって、身体の関係でお互い身体の隅々まで求め合ってグチャグチャに絡み合ったっていう」

「言わなくていいからっ……!」



「そんなことがもしバレてしまったら、クラスの男子達に刺されてしまうかもしれませんね?」



 可笑しそうに笑う御園だけど、まったく笑えない……。

 それにそんなことになったら御園だって変な目で見られてしまうかも知れないんだぞ??



「御園のためにも、俺のためにもやめないか?」


「わかりました。もう少し普通の友達っぽく接することにしますね?」



「だけど今は…」



 そう言って放課後のハグタイムが始まった。








 その様子を1人の人物が見ていると俺は気がつかなかった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る