第15話 回想〜 聖女様のお家に

「えっと……帰ろっか。」


「ああ……。」


 俺と御園さんはたまに一緒に帰ることがあった。

 周りには俺たちが話す仲だと思われてないから、校門を出て少ししたところにあるコンビニで落ち合う様にしていた。



 あの告白の後、その形を取り御園さんが先に学校を出る


 コンビニに着くと彼女は居なかった。

 何かを買っていた様で店の中から出てきた。


「た、たきくんっ!?いつ来てたの……?」


「今さっきだけど…?」


「そ、そう……」


 なんかソワソワしてるな。


「ねぇ、晩御飯食べない?」


「どこか行くの?でも…まだ少し早く無い?」


 まだ17時にもなっていない。

 彼女はこちらを伺いつつさらに続ける。



「えっと、ね?私が作ってあげる……」


「まじですか……?」


 御園さんの手料理…。

 どれほどの男が羨望するだろうか……。



「うん、まじ……だから」

「私のお家に行こ?」



 俺に顔を近づけてそう囁かれた。

 それって…そういうこと……?



「あの、俺コンビニで買うものが……」





「……買ったよ?」


「え?」


「もう買ったから……」


 そう言った彼女の表情はひどく魅惑的に見えた。



 道中、俺は何度か立ち止まり彼女に心配されたが、何度目かでとうとう気づかれた。

 だって仕方ないだろ。

 好きな人とそう言う事をするんだから、想像したら歩けなくもなる。



 顔を赤くして待ってくれていたがチラチラと此方を伺っていたのを俺はちゃんと見ている。





 彼女の家はオートロック付きの真新しいマンションだった。

 母親の帰りは21時過ぎになることが多いらしい。





 家に入るなり彼女は俺に問いかけた。


「あの…ご飯にする…?お風呂にする……?

 それとも……」



「私でいいよね??」



 とろん、と潤んだ瞳で問いかける彼女はいつもとは違い

 欲に満ちたメスの表情をしていた。



 手を引かれ、導かれるままに彼女の部屋へと案内された。









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