第12話 聖女様とぎゅーっと
休み時間の度に周りから視線を感じるので落ち着かない。
あと授業中も隣の小林さんからビシビシ視線を感じる。
放課後が近づくと御園がじーっと視線を送ってくる。
あれね。わかってる。わかってるからそんな見ないで…。
クラスの視線がここに集中しちゃうからっ……!
放課後、昨日と同じ校舎裏に向かった。
御園はもう来ていて遅いですよ?と言う。
御園が早すぎるんだけど…。
「ふーん……随分とおモテの様ですね」
「え?そんな事ないけど…」
「本当は私だけが知っていたかったのに……」
ボソリとそんなことを呟く。
「さっさとして帰ろうぜ」
なんか今日は気苦労というか疲れた。
家に帰ってグータラしたい。
「なんですかそのやっつけ仕事みたいな、嫌なんですか?」
「嫌じゃないよ……でも毎日っていつまでやるんだよ?」
「期限なんて決めてませんよ?私……強いて言うなら私が満足するまででしょうか」
「えぇ……」
「でも……本当に嫌なら言ってね?」
そういうと御園は昨日と同じ様に俺の背中に腕を回してきた。
柔らかくて大きな胸が俺の胸板に押し付けられてひしゃげる。
「由良くんもぎゅってしてっ」
お互いに腕を背中に回してから30秒、それが俺と御園で決めた妥協点だった。
御園の背中に腕を回して強く抱きしめると御園は「んっ」と艶かしい声を出し、胸の感触をわからせる様にゆさゆさと体を揺らしてくる。
艶やかな髪と柔らかな体からは御園の甘い匂いが俺の理性を刺激してくる。
(あぁぁぁぁ、ヤバいぃ)
柔らかく豊満な体の抱き心地があの日々を想起させる。
御園も思い出したりしてるんだろうか。
「由良くぅん…」
潤んだ目で見つめられて名前を呼ばれる。
雰囲気が徐々に甘くなっていく。
もっと先を望めば叶うんじゃないか、そんな思いがよぎる。
なんとか、本能に負けずに耐え切ることができた。
(30秒でよかった……)
そう思わずにはいられない
「もう……?」
「ちゃんと30秒たったぞ」
「また私とえっちしたくなりました??」
「いや……」
名残惜しそうに体を離す御園は、蠱惑的な笑みで俺にそう囁いた。
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