二人一組ならラスティーク様と一緒に!


 (うへへへへへ…ラスティーク様の冷たい目線、いただきました!ありがとうございます!)


 取り敢えずは席につき、授業を受けるが魔法原理学だ。先生はおじいちゃん先生ことワイズ・ティルス先生(62)。この世界に定年退職という概念は無いのだろう。しかしぼけている訳では無い。ワイズと言う名に恥じず知識量が凄い。生き字引並である。授業は分かりやすく、眠気を誘うことは無い。

 (ごめんなさい、先生。正直に言わせてもらうわ。『ダルい。めんどい。必要性を感じなくはない』大体なんなのよ。魔力の流れってこのよく分からない水の流れみたいなものでしょ。あと詠唱!厨二感半端ないわよ!恥ずかしい!属性ごとに詠唱が違うのは解る。でもさ、持ってる魔力の種類で変わるのはどうなのよ!!)


 「え〜…それでは基礎と仕組みについて学んだ所で次の時間は実技へと移すぞ。今日一日使うから覚悟しておくように。あと、次の実技はそなたら陸組と空組の合同練習となるからの」

 先生からの『言葉と図で学んだし理解したよね!じゃあ実技するぞ』との言葉に対し、皆「はい?いくら二年生でも少し前まで攻撃魔法は全て禁止、覚えるのは己に適正のあるものの形成魔法のみ」だったはずでは?と言わんばかりにポカンとしていた。

 しかしそれもつかの間。合同練習の相手クラスがシャラナーダ・クナーズ・ルークの所属する空組と言うことを理解した途端、教室内が女子の黄色い声に包まれ、男子はガッツポーズをして全身で喜びの舞を舞っていた


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 〜in魔法実技場〜

 紆余曲折あったが魔法実技場には着く。安心して授業を受けようとするもつかの間、魔法原理には先生が二人いることを思い出した。

 一人は座学のワイズ・ティルス先生。もう一人は今、ラスティーク達の目の前にいる。


 「ハッハッハッ!どうしたんだい?二年空組と二年陸組!私の筋肉とこの溢れ出るカリスマ性に見惚れてしまったのかい?」


 この自身の筋肉と自分大好きなナルシスト教師、ナルキッス・スティーク先生だった。

 (この先生、悪い人では無いのよ…悪い人では無いんだけれど…)

 チラリと先生へと目を向けると先生はボディービルダーのようにサイドチェストやモストマスキュラーといったポージングをしていた。

 (この人から筋肉と自分大好きをとったら何が残るのかしら…)

 生徒が困惑していると先生は先程の言葉から続けて

 「それではっ、今からクラス関係なしでっ、二人一組にっ、なってもらうぞっ!」

 先生がその言葉を発した際にほとんどの人はシャラナーダ様へと熱視線を向けると我先にと言わんばかりに押しかける

 (あらら〜…凄い人気ね。まぁ、私には関係ないけと。っていうか先生はそんなにこまめにポージングを変えないでくださいよ!)

 シャラナーダへと人が集まっているのを確認するが、私の他に数名がその様子を遠巻きに見ていた

 (あら?どうしてアイドル的存在のシャラナーダ様の元へは行かないのかしら?…と言うよりも誰が行ってないのかしら…)

 不思議に思い、その人達へと近付くとそこに居たのはラスティークとその取り巻きであった

 (えっ!えっ!?何で?ラスティーク様はシャラナーダ様のことを好いてはいないの?)

 と、疑問を持っていると人の群れから

 「ごめんね。君たちと組む気は無いんだ僕は」

 そういうと人の群れからシャラナーダが出てくる。するとラスティークの顔が明るく頬が薄紅色になり、彼の元へと近付く

 (なるほどね。近くにいるよりも遠くから見て近付いた人達を断ってから出てきたところを誘われるという算段だったのね。流石ラスティーク様です!でも、私とは組んで下さらないのね…)

 しかし、シャラナーダはラスティークに

 「残念だけど……君とも組む気はない」

 そう告げた

 (はぁぁぁ!?ありえない!なんで女神様ことラスティーク様のお誘いを断るの!)

 ありえない断りに対してふつふつと怒りを募らせていると、シャラナーダは

 「僕はそこの彼女と組みたいんだ」

 と、ラスティーク様から離れて私に近付き

 「もし、君が良いと言うのならば、この私と組んでくれるかい?」

 (はぁぁぁ?)

 クリュッセルはすぐにでも断ろうとするが、周りの視線が痛い。もし此処でシャラナーダのお誘いを断ろうものならば授業後に即座に処されるであろう

 (あぁ、そんな…ラスティーク様に嫌われてしまう…けれどもここで断ったら、ラスティーク様の事を下に見ていると思われるかも…)

 そんな風に頭を悩ませるが、ラスティークと一緒になりたいという願望を抑えて此処で引き受け、ラスティークにこれ以上恥をかかせないことが必要となってくる


 「えぇ、私でよろしければ」


 (ぬぁぁぁ!すみません!すみません!すみません!ラスティーク様、私はいくら男性陣に好意を向けられても貴女のものです!)

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