第34話
「とにかく、腕時計を探そう」
陽が言う。
「お前、あんな映像見てよく探し物なんてできるな?」
海が陽に食って掛かる。
陽は海を睨み付けた。
「映像はとっくの昔に終わった事を見せているだけだ。今俺たちが怒ってもどうしようもないだろ」
冷静な陽の言葉に海は顔が真っ赤になって行く。
「なんだとお前! あれを見てもなんとも思わねぇのかよ!!」
そう怒鳴りながら陽の胸倉をつかんだ。
「ちょっと、やめなよ海!」
渚が止めに入っても、海は全く聞こえていない様子で陽を睨み付けている。
「俺だって腹が立ってんだよ!!」
陽の怒鳴り声が響き渡り、あたりは静まり返っていた。
陽が怒ったことなんて、今まで1度も見たことがない。
「だから俺たちが代わりに腕時計を探してやるんだろうが!!」
陽はそう言い、海の手を振りほどくと科学室の中を探し始めたのだった……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます