第34話

「とにかく、腕時計を探そう」



陽が言う。



「お前、あんな映像見てよく探し物なんてできるな?」



海が陽に食って掛かる。



陽は海を睨み付けた。



「映像はとっくの昔に終わった事を見せているだけだ。今俺たちが怒ってもどうしようもないだろ」



冷静な陽の言葉に海は顔が真っ赤になって行く。



「なんだとお前! あれを見てもなんとも思わねぇのかよ!!」



そう怒鳴りながら陽の胸倉をつかんだ。



「ちょっと、やめなよ海!」



渚が止めに入っても、海は全く聞こえていない様子で陽を睨み付けている。



「俺だって腹が立ってんだよ!!」



陽の怒鳴り声が響き渡り、あたりは静まり返っていた。



陽が怒ったことなんて、今まで1度も見たことがない。



「だから俺たちが代わりに腕時計を探してやるんだろうが!!」



陽はそう言い、海の手を振りほどくと科学室の中を探し始めたのだった……。

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