第7話
ハッ!
マナミが気合を入れ直した次の瞬間、トオルがマナミから飛び退き、大きく息を吐きだすと、両手で持っていた剣を右手だけで持ち、左手を柄頭に添えた。
その様子にマナミは警戒し、いつでも動けるように身構える。
次の一撃が最後の一撃だお互いに感じている。
マナミは今まで以上に集中力を研ぎ澄まし、トオルは腰を落として深く呼吸をしながら精神統一をしている。
一閃!
二人の放った斬撃は交差してぶつかり合いマナミは衝撃で弾き返され倒れる。
だが、トオルはゆっくりと二歩進むと
「ふっ、まさかここまでやるとはな……」
そう呟き口から血を吐き出し、邪眼のトオルは崩れ落ちていく。
マナミはその様子を倒れたまま黙って見つめていた。
――――――
一方、サトルは蜘蛛の攻撃を何とかかわしながら洞窟のあちこちに銃弾を埋め込んでいく。
この銃弾は通常の弾と違い魔力で生成されたものだ。これは、サトルが作ったもので、サトルが魔力を込めて撃ち出すと、込められた魔力により、様々な効果がある。
蜘蛛はサトルを攻撃しようと前足を振り回したり噛みついたりしてくるが、全てかわされている。
サトルは蜘蛛の攻撃をよけながらも蜘蛛の体の中にも銃弾を指で埋め込んでいく。
蜘蛛はその事に気がついていないようで、サトルに向かってひたすら攻撃を仕掛け続けている。
「よし、そろそろいいかな」
サトルが何かつぶやくと、突然洞窟内が光輝き出し、蜘蛛が苦しむように暴れ出し、サトルは蜘蛛から離れ距離を取る。
蜘蛛の全身が青白く発光していて、しばらくすると蜘蛛は動かなくなった。
グガ
グガガガ
ワタ……
ワタシハ……
蜘蛛が何かを話そうとしているが言葉にならない。
「サエさん、サエさん。あなたは誰にこの儀式を聞いたのですか?」
サトルが悲しい青い目で尋ねる。
グガガ
ワタシハ……
アノ
オトコ
「そうですか。残念ですがあなたが聞いたその儀式はホンモノではないんです」
蜘蛛は悲しそうに小さくなっていく。
「あなたにもわかっていたはずです。なんで……」
蜘蛛は小さく丸くなっていく。
「さあ、もう止しましょう。それはあなたの罪ではありますが、こんな形で終わらせていいものではありません。そして、あなたをこんな姿にしてしまった者を私は許せません。あなたには話してもらわなければならないのです」
蜘蛛を睨みつけると、蜘蛛の顔が一瞬で消え去り、元の体と小さな人形が残された。
サトルはサエに近づく。
まだ息はあるようだったが意識は無いようでぐったりとしている。
サトルはサエをそっと抱きかかえ、人形を手に取ると洞窟の入口に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます