第4話
サエの話では、依頼は奇病の原因を突き止めて解決してほしいということだった。
当初の目的とは違っているが放っておくわけにもいかず、マナミとサトルはその奇病についての調査を始めた。
二人は早速行動を開始する。まずは奇病を発症した人たちに会いに行った。
最初に訪れたのは島の西側の海岸にある洞窟前である。そこには二十代後半くらいの男性と女性が一人ずつ立っていた。
男性は背が高く細身で色白、髪は短く切りそろえられている。一方女性の方は身長が低く小柄で色黒、髪は長くウェーブが掛かっている。
男性の方の「目」にマナミたちが注目していると男性が気づいて近づいてくる。
男性の名前はトオル、島で生まれ育った男性だ。その目はまるで蛇の目のように両端が切れ上がっている。
「何の用だ?」
「あのお、すみません。この奇病の解決を……」
「帰れ! 俺らには関係ない!」
マナミが話そうとするが遮られ怒鳴りつけられる。
「ちょっと待ってください」
「うるさい! さっさと消えろ!」
「だから話を!」
「お前らに話すことなんて何もない!」
と取り付く島もない。
これはらちが明かないとマナミが諦めかけた時、サトルが言う。
「この洞窟って…… ここには昔何があったんですか?」
「なっ?!」
「そうか、ここって……」
と一人納得するサトル。
「マナミ、行くぞ」
というと男性が止めるのも聞かず洞窟に近づいていく。
「サトル? 何? どうしたの?」
マナミが不安そうに聞く。
「ああ、ここ、蛭子神社だ」
「ヒルコ?」
「うん。ですよね? サエさん」
そう言って、黙ってついてくるサエを睨みつけると、今まで無表情だった彼女の顔が青ざめていく。
サトルはため息をつく。
洞窟の中に入るとマナミは目を丸くして驚く。
洞窟の奥に石でできた大きな扉があり、その奥に祭壇があり、中央には石が積まれどす黒く光っている。
「はぁ…… ここで儀式を行ったんですね? サエさん」
「な、なんのことでしょうか」
「いや、もう隠さなくていいですよ。この儀式は……」
そう言って、サトルは自分の頭を掻き上げる。
「これは室町時代以降の儀式で期待できないと思うんだけどなあ」
「あなたは?! ご存じなのですか!」
「ええ、まあ。教えませんけどね」
「なぜ?! このままではあの子が浮かばれません!」
「そうでしょうかねえ? サエさん、蛭子と恵比寿はそもそも別物なんですよ?」
「え? 嘘?!」
サエが困惑したようにうずくまる。
二人の会話に全く入れないマナミはきょろきょろと二人を交互に見ている。
「もお! いい加減にして!! なんで私をのけ者にするの!!」
そう叫んだ瞬間、世界が暗闇に包まれ、赤い蜘蛛の巣のような光が暗闇に走る。
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