モノクロ・ガールミーツガール⑥

 

 次の日、クラスでのオリエンテーションなどなどが終わった。明日から授業が始まるそうだ。

 「いろはー、軽音部いこー。」

 私の席から少し離れてる席にいた明音が、授業が終わるとともに駆け寄ってきた。待ちきれなかったのか、明音は、今日一日ソワソワしていた。

 「うん。」

 短い言葉で返し、私達はさっさと教室を出る。

 部活棟は敷地内に2つある。1つは運動部用、もう1つが文化部用だ。運動部用は高校棟のすぐ隣りにある。その隣に体育館が1つの建物としてある。そこから、校庭を横切りその先にあるのが文化部用の部室棟だ。要するにメッチヤ遠い。入学式の日の反省を活かし、私は担任の先生に部室棟への行き方を教えてもらっていた。お陰で適当に歩く明音を抑えながら迷わずつくことができた。

 部室棟はコンクリート造りの建物だが少し年季が入っている。入り口には地図と各部活用のポストがあった。地図を見る限り、部室棟は3階建てのようだ。1階には吹奏楽部や化学部のような人数が多い部活が、2階には将棋部と文学部や囲碁部のような人数は少ないが古くからあるような部活がある。そして、3階にはまだ新しい部活が並んでいた。3階の一番奥のところに軽音部があった。また、非常に遠いのだ。普段の私なら、この時点で帰りそうだ。しかし、明音もいるし、なにより昨日の演奏を聞いてテンションが上がっていた私に帰るという選択肢はなかった。

 入口近くの階段を2階あがる。そして、少し古い廊下をまっすぐと奥に進む。音楽系の部活だろうか。階段近くの部屋から、演奏の音が漏れる。さらに奥の部屋からは笑い声がもれる。どこの部活も活動しているようだ。胸の音がうるさくなり、歩みも徐々に早くなる。明音も同じ様子だ。そして、最後の部屋の前につく。


 明音と目を合わせ意を決して教室をノックする。

「こんにちはー。」

 明音が、呼びかけると…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る