沖縄へ
恵美さんと別れた後俺はすぐにLI○Eを送った。だが、夜なっても既読にならなかった。俺はスマホとにらめっこをしていると、メリー達が声を掛けた。
「あんた、朝から晩までずーっとスマホとにらめっこして楽しい?」
「龍星、そいつはもう諦めた方がいい。あれから連絡がないんじゃろ?」
「そーよそーよ。どんな女か知らないけど、恋愛対象にはならなかったって事なんじゃないの?」
その言葉を聞いて後ろを振り返る。
「んじゃ……フラれたのかなぁ?」
俺がそう言うと、メリー達は何故か目を逸らし始める。メリー達の反応を見て俺は項垂れる。
「やっぱりフラれたのかぁ」
「ま、まだこれからチャンスがあるって。落ち込む事ないわよ」
「そ、そうじゃよ。女は星の数いるんじゃしな?」
と、その時。
ピロン♪
LIN○の通知音が鳴り響いた。俺は直ぐに確認すると、相手は恵美さんだった。
「恵美さんからLI○Eが来たっ!」
「えっ!?嘘っ!?マジで!?」
何故かメリーは信じられない様子で俺に聞いて来た。すると、花ちゃんとすーちゃんがメリーに近付きヒソヒソと声を掛けた。
「ちょっと!あんた、本気で殺ったんでしょうね!?」
「当たり前でしょ!殺す気でやったわよ!」
「あの時のメリーは殺意に満ちていた。間違いない」
「だったらアレはなんなのよ!生きてるじゃん!LI○E来てるじゃん!」
すーちゃんが俺のスマホを指差すと、メリーが考え込む。
「余程の頑丈なやつ?漫画じゃないんだからそんな訳ないわよね……っとなると、LI○E相手は恵美の偽物なんじゃない?」
メリーの言葉に花ちゃんが首を傾げる。
「偽物……何者かが恵美になりすましているというのか?」
「まぁ、メリーの言う通りかも」
「でしょ?だから龍星にそいつは恵美の偽物って言えば──────」
「恵美さん、ちょっと体調崩しててLI○E出来なかったんだって!この前はごめんなさいだって!」
俺の言葉を聞いたメリー達は同時に頭を抱え込んでしまった。だが俺はLI○Eの文章を読み続ける。
「また会いたいって送ったんだけど、恵美さん今沖縄県にいるんだって」
俺は目をキラキラさせながらメリー達に言い放つ。すると、お化け達が油の切らした機械のようにギギギと首を動かす。
「ま、まさか龍星さん。まさか琉球の島に行こうとしてるのですか?」
「落ち着かんか龍星。ここは恵美がこっちに帰って来るまで様子を伺った方がいいのではないか?」
「龍星さん、落ち着いて下さいまし!」
「ほんっとうに、行く気なのですか?もう少し冷静に考えて下さい。仕事も大事だし、慎重に決めたほうが…………。もし、本気で行くなら計画を立ててから行ったほうがいいと思いますよ?」
はーちゃん、花ちゃん、お菊さんが必死に止めようとして来るが、俺はスマホを操作して警備部長へ電話した。
「もしもし警備部長、お疲れ様です。あのですね、3日程休ませて欲しいんですけど良いですか?え?理由? 恋人を追いかける為ですよ!」
「頼むわよ警備部長さん、ダメって言って!お願い!」
「そんなくだらない理由で休める程世間は甘くないだろ!」
お化け達は懇願するが……。
「本当ですか!?ありがとうございます!それじゃ明日から3日間休ませて貰います!」
「え、ぶちょーさん、やさしーね。だいじょうぶ?なやんでるの?ことわれないりゆうがあるのかな?」
俺はウキウキしながら自分の部屋に行ってキャリーケースの中に着替えや水着を詰め込みながら荷造りをしていると、メリーが慌てて入って来た。
「龍星、待ちなさいよっ!あんた怪しいと思わないの!?」
メリーの言葉に俺はピタッと手を止める。
「本当に恵美さんが悪い人だったらLI○E寄越さないんじゃないかな?」
「そ、それは……」
「だからはっきりさせる為に俺は沖縄に行ってくるよ」
「分かった……ちょっと待ってなさい!」
メリーが自室に戻って何かを取りに行ってドタドタと戻って来た。メリーの手にはブランドのカバンがあった。すると、メリーは口を開く。
「あたしも沖縄に行くっ!」
「えっ?メリーも?海にでも入りたいの?そんな貧相な体で?」
俺が首を傾げると、
「ぶっ殺されたいの!?違うわよ。あんただけじゃ正確な判断が出来ないでしょ?」
「え?出来るけど?」
「いやいや、出来てないでしょ!?また変なお土産買ってこられても困るしね」
「そりゃまぁ……そうだけど」
「あたしは幽霊だもの、旅費の事は気にしなくていいのよ?」
「…………あっそっか!」
「話は決まったわね。行くわよ、沖縄へ」
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