教えて!コックリさん!

 幽霊を見事撃退した俺は、その後、着替えてビールを飲みながら状況を整理した。

 

 まず、今かつて幽霊を見たのは今回が初。なんで見える様になったのか……もしかして、この前の飛び降りて死にかけたのが原因だったのか?だとすると、これは異世界転生で言うところの【チート能力】的なものか?……それだわ、コレで幽霊にセクハラしてやんよ!!。相手は幽霊、いくらあんなことやこんなことをしても警察に駆け込む事も出来ない……勝ったわコレ。

 

「とは言っても……さっきの子……もう来ないよなぁ。なんせフリチ〇見せつけられたんだもん、普通ならもう絶対来ないよ」

 

 そう言いながら俺はスマホを取り出してアプリゲームを起動させて遊び始めた。だが、先程の興奮が忘れられなくなった俺は、いても立っても居られなくなった。

 

「あー……ダメだ、気になってしゃーない。幽霊を呼び出す方法でも探すか……」

 俺はスマホで【幽霊 呼び出す方法 検索】を打ち込み、検索を始めた。スクロールしていると、様々な呼び出す方法が書かれていた。そこに、見覚えのある方法が記されていた。

 

「【コックリさん】……コックリさんってあの、コックリさんだよな?」

 

 コックリさんとは、机に乗せた人の手がひとりでに動く現象は心霊現象だと古くから信じられており、日本では通常、狐の霊を呼び出す【降霊術】と信じられていた。漢字で書くと【狐狗狸】という字が当てられることがある。やり方は、机の上に【はい、いいえ、鳥居、男、女、0〜9までの数字、五十音表】を記入した紙を置き、その紙の上に10円玉を置いて参加者全員の人差し指を添えていく。全員が力を抜いて『コックリさん、コックリさん、おいでください。』と呼びかけると硬貨が動くという。

 

 ネットの情報を確認した俺は思い切ってコックリさんを呼ぶ事にした。机からルーズリーフを取り出して、財布から10円玉を取り、ネットの情報を少し”アレンジ”しようとを思い付いた。数字の他に、アルファベットや、顔文字などを適当に書き加え、コックリさんを呼び出す準備を終えた。

 

「よし……やるぞ……。コックリさん、コックリさん、おいでください」

 

 しーん……。

 返事がない……ただの独り言の様だ。

 

 俺は首を傾げながらもう一度、コックリさんを呼んでみる事にした。

 

「コックリさん、コックリさん、おいでください」

 

 しーん……。

 

「コックリさぁぁぁぁん!、コックリさぁぁん!、きてってばぁぁっ!!」

 

 スッ!

 

 動いた!!来た!

 

 真夜中の俺の念が届いたのか、10円玉が勝手に動き出した。スッー、スッーと10円玉を動かし、コックリさんが最初に答えた言葉は……。

 

 う る さ い (・_・)

 

「うるさい?えっちょ!コックリさん!あんたが直ぐに来ないからでしょ!?もうっ!。はじめまして、福島龍星って言います。今日はよろしくお願いいたします!」

 

 俺は10円玉を抑えながらお辞儀をすると、コックリさんは10円玉を動かす。

 

 な ん か よ う ? ( ˘•ω•˘ )

 

「あっはいはい。あのですね?俺、幽霊に会いたいんですけど、誰か居ませんか?出来れば、可愛くて愛嬌のある幽霊さんが良いです!」

 

 俺はコックリさんにリクエストを伝えると、コックリさんは……

 

 は ? な に い っ て ん の ? む り (´・ω・`)

 

「そこをお願いしますよ〜、お供え物出しますからぁ!!」

 

 そ ん な の い な い ば か か ? (#^ω^)

 

「ばっばか!?、なにもそんな事言わなくたって……。んじゃ、質問変えます。綺麗な幽霊さんは居ますか?」

 

 い る っ ち ゃ い る よ ?

 

「ホントっすか!?どんな幽霊さんですか!?名前は!?」

 

 は っ し ゃ く

 

「はっしゃく?えーっとスマホスマホ」

 

 俺は片手でスマホで【はっしゃく】というワードを検索した。検索してみると様々な情報が記載されていた。

 

「へぇ〜、なるほど。この八尺様はどこに居るんですか?」

 

 〇 〇 け ん 〇 〇 し 〇 〇 ち ょ う

 

「ふむふむ……あっ、ナビで調べよっと」

 

 スマホのナビを検索してみると、自宅から2〜3時間で行ける所だった。

 

 会ってみてぇ、家からそんなに遠くないし、今度の休みに行ってみよう!!

 

 予定を立てていると、コックリさんがまた動き出した。

 

 ま だ な に か ?

 

「ありますよ!今度はコックリさんの事教えてくださいよ!」

 

 な に ?

 

「えーっと、ちょっと待って下さいね?……はい!行きます!」

 

 Q.コックリさんは女の子ですか?男の子ですか?

 

 この質問に、コックリさんは答えてくれた。

 

 A.お ん な

 

「なるほどなるほど……んじゃ、次はコレです」

 

 Q.コックリさんは何歳ですか?

 

 A. 18

 

 嘘つけっ!

 

「嘘ですよね!?ホントの年齢教えてくださいよ!!誰にも言いませんから!」

 

 ホ ン ト ( ๑º言º)

 

「わっ、分かりましたよ……コックリさんって若いんですね……」

 

 で し ょ ? ( *¯ ꒳¯*)

 

 この答えにより、俺は血肉が踊った様な気持ちになって来た。我慢出来なかった俺はコックリさんに思い切って聞いてみる事にした。

 

「コックリさん、スリーサイズ教えてくださいよ」

 

 は ! ? ۳( ̥O▵O ̥)!!

 

「良いじゃないっすか!教えてくださいよ!コックリさんでしょ!?」

 

 そう言い放つと、コックリさんは動かなくなってしまった。

 

 やべっ、怒ったかな?

 

 数分後、10円玉が再び動き始めた。

 

 B 9 2 W 5 8 H 8 8

 

「めちゃくちゃナイスバディじゃないっすか!!耳と尻尾ついてるんすか?」

 

 う ん

 

「マジかよ……ど〇ぎつねさんだよ……めちゃくちゃ美人確定だよ。出て来てくれませんか?何もしないんで」

 

 興奮気味に聞いてみると、コックリさんは素早く動いた。

 

 や だ む り ! !

 

「そんな事言わないで!お願いちょっとだけ、数秒、数秒だけだから!ほんのちょっとだけだから!ねっ!?」

 

 ぜ っ た い な に か す る で し ょ

 

「お願いします!お願いします!」

 

 や ー だ よ ー (゜ϖ ´)ベー

 

 なんか腹立つ!!

 

 カチンと来た俺は、コックリさんにこんな事を聞いてみた。

 

「コックリさん……今日のパンツ……何色っすか?」

 

 は ! ? ((((;゚Д゚)))))))

 

 なぜ俺がこんな変質者見たいな質問をするかと言うと、純粋にこのコックリさんはど〇ぎつねさんの様なイメージをしているからだ。聞いた理由はこうだ。

 

 理由1:デザインを聞くと回答が長いから

 

 理由2:デザインを聞いてもイメージできないから

 

 理由3:色だと聞かれた相手が答えやすそうだから

 

 理由4:色だと自分がイメージしやすいから

 

 そう、コックリさんは何十年生きてるなんか分からないから純粋にこんな事を聞いてみたのだ、決して、けっっしてエロい目的はない。

 

 すると……コックリさんは……

 

 し ろ

 

「マジっすか、どんな感じの────」

 

 だ が こ れ か ら き さ ま の ち で あ か く そ ま る。

 

 なにそれ怖っ!!

 

 背筋がゾクッとした俺はコックリさんに謝ろうとしたその時。

 

 こ ん や は ね か せ な い か ら な ゴゴゴ( ^言^ )ゴゴゴ

 

 こんにゃろ〜、殺る気か!?

 

「なんだ?やんのか?アンタに俺が殺れんのか!?ならかかって来いよ、パンツひん剥いて頭に被ってやるからなっ!!」

 

 ひ っ ! ! き も い ! :( ; ´꒳` ;):ガタガタガタガタ

 

「そして真っ白なそのパンツ、ぜっっっってぇ返さねぇからな!額に入れて【激レア!コックリさんのパンツ】ってタイトル付けて玄関に飾ってやっからな!覚悟しとけっ!!」

 

 ひ ぃ ぃ ぃ っ ! も う か え る ! !

 

 そう記したコックリさんは勝手に鳥居のマークに移動して、10円玉を動かすのをやめてしまった。

 

「んっだよ!帰りやがった!けど、八尺様の住所を手に入れれたからな、収穫はあった。にひひひ、今度の休みが楽しみだぜ……」

 ニヤニヤと笑いながら俺はコックリさんの紙を引き出しに片付けて寝室に向かって行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る