第11話 ミオクリ/楽しい時間はあっという間だな

○住宅街・道路(夕)

   #商業施設を出た主人公と紗江、帰り道を歩いている。


紗江

「あと少しでお家に着いちゃう……もうデートも終わりなんですね……。」

「でも先輩、わざわざ家まで送ってくれなくてもよかったのに……。」

「今日は先輩にお世話になってばっかりです……。」


「良いんです。私の服を選べなかったことなんて気にしないでください。」

「それは、次の楽しみに取っておきますね。」

「今日は、先輩とフォーチュンペアになれただけで充分です。」


「でも、あのときはひやひやしましたね。」

「あっ……! 先輩、そんなに申し訳なさそうにしないでください!」

「あれは、もともと私が無理を言ったせいですから!」


「先輩のせいなんかじゃないです。」

「へ? 《今度は先輩が、私の着替えを手伝う》……!?」

「そ、そんなことしたら、今度こそ店員さんに怒られちゃいますよ~!」


「……あっ!?」


   #紗江、よろけて躓いてしまう。

   SE 転ぶ音。


紗江

「あはは……転んじゃいました。」

「大丈夫、これくらいなんとも……。」

「…………。」


   #紗江、怪我をしたとウソをつけば、主人公ともっと一緒にいられるのではと考える。


紗江

「あ……いえ、なんでもないです……。」

「少し、考え事してて……。」

「すぐに立ちますから」


   #紗江、小声で呟く。


紗江

「ちょっとだけなら……いいよね……」


   #紗江、立ち上がって足首が痛いふりをする。


紗江

「……痛っ! あ、足が……!」

「転んだときに、ひねっちゃったのかも……。」

「でも、少し休めば歩けそうです。」


「だから、もうちょっとだけ一緒に……。」

「……へ?《 家までおぶっていくから任せてくれ》……?」

「えっ? えっー!?」


「そ、そんなことしなくても大丈夫ですから!」

「帰るのが遅くなったら大変だって……それはそうですけど……。」

「けど……先輩におんぶしてもらうだなんて……。」


「うう~……。」

「じゃ、じゃあ……お願い……します……」



《第12話へ続く》


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『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.3 中多紗江編』(CV・今野宏美、CV・阿澄佳奈)

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