第9話 コスプレ/中多さんが気になるショップを見つけた

○商業施設・コスプレ衣装専門店(昼)

   #食事を終えた主人公と紗江、ショッピングモールをぶらついている。

   SE ショッピングモール内の喧騒音


紗江

「はぁ……お腹いっぱいです。」

「先輩、次はどうしましょうか?」

「《ショッピングモールでお散歩》?」


「わぁ……! それ、とってもいいと思います!」

「えへへ……楽しみです♪」

「映画を観て、フードコートでご飯を食べて、そのままモールでショッピング……。」


「これって、とってもデートらしくて素敵じゃないですか。」

「どうせなら、先輩に服も選んでもらいたいな……なんて……」


   #紗江、前方にコスプレ衣装専門店を見つける。


紗江

「あれ……あのお店って……」


店員

「いらっしゃいませー!」

「コスプレ衣装にご興味がおありですかー!」


紗江

「いえ、あの……その……。」

「はい……少し……」


店員

「でしたら、ぜひお店を見ていってください!」

「うちのお店は試着も出来ますので!」


紗江

「えっと……せ、先輩……少しだけいいですか?」

「《もちろんオーケー》? あ、ありがとうございます……!」


店員

「なにか気になる衣装があったら、遠慮なく仰ってくださいね!」

「それでは、ごゆっくり~!」


紗江

「あ、ありがとうございます。」

「わぁ……いろんな衣装がたくさん……!」

「わっ、見てください!」


「これ、イナゴマスクの女性幹部、レディハチミツの衣装ですよ!」

「すごい再現度です……! 逢ちゃんが見たら喜びそう……!」

「こっちは有名なゲームに出てくる主人公の制服ですね!」


「スカートのデザインとか、すごい再現度です……!」

「……あっ、あれ!?」


   #紗江、フォーチュンペアの衣装を見つける。


紗江

「この衣装……フォーチュンペアのフォーチュンダイヤ……!?」

「そんなに有名なアニメじゃないのに、ちゃんと衣装があるなんて……!」

「これ、試着したいです!」


店員

「はーい! それでは、こちらの試着室をお使いくださ~い!」


紗江

「ありがとうございます! 先輩、ちょっとだけ待っててくださいね!」


   #紗江、試着室に入ってカーテンを閉める。

   #カーテン越しに紗江の着替えている声が聞こえてくる。

   SE 衣擦れ音


紗江

「わぁ……肩の細かいリボンもちゃんと作られてる……。」

「胸のダイヤも、光り方までばっちり……!」


   SE 衣擦れ音


紗江

「よし……! 先輩、カーテン開けますね……!」


   SE カーテンを開ける音


紗江

「えへへ、どうですか……?」

「私、フォーチュンダイヤになっちゃいました♪」

「この衣装、本当にすごいです!」


「細かいデザインまで完璧で……」


   #紗江、急にトーンダウンする。


紗江

「でも……ダイヤひとりじゃ、フォーチュンペアはダメなんです。」

「やっぱり、隣にフォーチュンルビーもいてくれないと……。」

「そこに、ルビーの衣装はちゃんとあるんだけどな……。」


「こんなとき、美也ちゃんがいてくれたら」

「ルビーになって一緒に並んでくれたかも……。」

「ふたり揃ったフォーチュンペア、見てみたかったな……。」


   #紗江、愚痴ってしまっていることにハッと気づき、


紗江

「あっ! 私、先輩に何言ってるんだろ!」

「変なこと言っちゃってごめんなさい!」

「すぐに着替えて……。」


「え? 先輩が、フォーチュンルビーになる……?」

「で、でも、これレディースサイズしかないですよ?」

「それに、女装してるところを他の人に見られたら……。」


「え……? 恥ずかしくないんですか?」

「先輩のフォーチュンルビーは、私へのプレゼント?」

「だから他の誰にも見せたくない……。」


「ふふっ……。私、嬉しいです!」

「誰かのためじゃなくて、私のためのルビーになってくれるだなんて。」

「そのためには、一緒の試着室で着替えを?」


「わ、わかりました! 私、先輩のルビーを独り占めしたいです!」

「私の……私たちだけのフォーチュンペアになってください!」



《第10話へ続く》


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