第3話 ハンセイ/美也のやつ、中多さんを困らせて……

○街中・通学路(朝)


美也

「にぃにのけちー! 紗江ちゃん独占禁止法違反だー!」

「《紗江ちゃんが困ってる》?」

「えーっと……それは……。」


「ちょっとやりすぎちゃったかもしれないけど……。」

「美也だけ仲間はずれにされたみたいで、寂しかったの……」


紗江

「せ、先輩……私はもう大丈夫ですから。」

「ちょ、ちょっと恥ずかしかっただけですし……。」

「美也ちゃんのこと、怒らないであげてください」


美也

「紗江ちゃん……」


紗江

「美也ちゃんのこと、仲間はずれにするつもりなんてないの。」

「ただ、今日は先輩と話したいことがあったから……。」

「内緒にしてて、ごめんね……」


美也

「……紗江ちゃんは謝る必要ない!」

「美也、ちょっとはしゃぎすぎちゃった……」


紗江

「美也ちゃんは悪くないよ!」

「だから、そんなに悲しそうな顔しないで?」

「私も、美也ちゃんにはニコニコしててほしいから……」


   #美也、しんみりした口調を一変させておどける。


美也

「それなら……。」

「もうちょっとだけ、紗江ちゃんのふかふかを堪能させて!」

「……じょ、冗談だよ、にぃに!」


「そんなに怖い顔しないでってば!」


紗江

「ふふふ……」


美也

「あー、紗江ちゃん笑わないでよー!」


紗江

「ち、違うの!」

「先輩と美也ちゃん、やっぱり仲いいなって思って」


美也

「そうかな? これくらい普通じゃない?」

「ケンカだってよくするよ?」

「この前だって、登校前に洗面所の取り合いに……」


「……あれ? そういえば今、何時?」


紗江

「えっと……8時だね……」


美也

「げー! 登校時間、もうすぐじゃん!」

「このままじゃ遅刻しちゃうよ!」


紗江

「た、大変です! 先輩、急がないと!」


美也

「もー、遅刻したらにぃにのせいだよ!」


   #美也、先に走り出す。


紗江

「せ、先輩のせいってわけじゃ……。」

「あれ……? 先輩、どうしたんですか?」

「《デートの相談、結局できなかった》……?」


「そ、そうですね……確かに何も決まってないままです……。」

「せ、先輩……もしよかったら、放課後また会いませんか。」

「そのときに、ちゃんとデートのこと、決めましょう」


   #美也、遠くから主人公と紗江に呼びかける。


美也

「ふたりとも急いでー! 本当に遅刻しちゃうよー!」


紗江

「み、美也ちゃん待って~!」


   #主人公と紗江も駆け出す。



《第4話へ続く》


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