第18話 誰が助けてくれるの?
ピリリ……ピリリ……
いつものアラーム音で、清二は目が覚めた。
清二はあの出来事が夢でよかった、と心から思った。
今回はなんて後味が悪い夢なのだろう、と思った。本当の意味でも悪夢である。
夢の中で、しかも自分の住んでいる場所とは違う世界とはいえ、誰かが死ぬところを見てしまうということは実に心が痛むものだ。まだ鼓動が収まらない。
清二はユミラが言っていた台詞が気がかりだった。
「ユミラが言っていた『運命』ってどういうことだ?」
一体何が運命だというのだろうか。まるであの者達が死ぬのが決まっていたかのような言い方だ。それどころか、ユミラは「私達の運命」と言っていた。それではあの者達だけではなく、ユミラ自身のことも含まれているというのか。
しかもあの落ち着いた様子だと、すでにそれを受け入れているかのような言い方だ。
「よくわからないな。次にあそこへ行ったら聞いてみよう」
清二は夢の記憶をすぐにノートに書こうとした。
あの事故現場を思い出すと恐ろしかったが、あのことから逃げてはいけないような気がした。
なぜかわからないが、トラウマになりそうなあの一件が忘れてはいけない気がしたから。
夢日記を書き終わると、清二は制服に着替え、キッチンに行った。
「清二、どうしたの? なんだか辛そうよ」
清二の顔色がすぐれないことに、母親がそう言った。
「ちょっと恐い夢見ちゃっただけだから」
それは間違いではない。夢の中で恐ろしい想いをしたのはそうなのだから。
「小さい頃もようそう言って眠れない時とかあったわよね。もう高校生なのに夢が恐いなんて」
母親はそう言うが、清二にとってはただの夢なのではないのだ。
清二はその日一日、夢の中のあの事故の場面がフラッシュバックした。
血の海、押しつぶされた人の身体。自分と話をしていた相手が亡くなったという感覚、事故のすさまじい現場、それはそれは恐ろしく、夢の中の話でも、忘れられない。
学校にいても、授業が身に入らなかった。食事をしていても、あの者達のことを思い出す。
自分も次には一瞬で死ぬのではないかと。
他の者にいえば「そんな夢くらいで」とでも言われそうだが、清二にとっては一大事だった。
きっと今日もあの夢の続きを見るのだろう、と。
そうしているうちに、今日も就寝時間だ。
結局清二は逃げることもできないまま、またもやユートアスラントへ来た。
いつもの場所でユミラを見つけ、話しかける。
「ユミラ……」
しかし、なんだかいつものように話しかけられそうになかった。前回あんなことがあったばかりな上に、ユミラは意味深な発言をしていた。あの発言について聞きたかった。しかし今日はそんなことを聞ける様子ではなかった。
「何、してるの?」
清二はあえて違う話題を出すことにした。
「空へ祈りを捧げていたのよ」
ユミラは空を見上げて手を組んでいた。昨日亡くなった者達への祈りだろうか。
「セージ、今日はシェルターに行かない方がいいわよ」
それはあの時、気分が悪くなってしまった清二に気を遣っているという風にもとれた。
あの現場のことを思い出すから近寄らない方がいい、ともとれる。
「今日は葬儀が行われてたの。昨日亡くなった人たちの」
きっとシェルターは通夜モードなのだろう。前にランスという子供が亡くなった時も、そんな雰囲気だったのを知っている。
「お参り、させてくれないかな」
清二にとっては自分が作りだした世界の中の話である。それならばそこの住民に起きたことは見届けなければいけない気がした。
自分がこの世界の創造神であれば自分は親であり、住民は我が子同然だ。
そして、今日もシェルターへ行く。
今日のシェルターの様子はいつもと違った。皆、妙に静かだ。
瓦礫のあった場所はすでに片付けられておいた。恐らく、血も全て拭われ、後始末をしたのだろう。
もちろん、亡くなった者の遺体もだ。恐らく瓦礫の下の遺体は原型をとどめていなかっただろう。それを住民達は後も残さないように清掃したのだ。
今はそれらの代わりに、花が添えられていた。
ここであったことは、もうすでに終わったことなのだと実感させられる。
清二は昨日あったことを思い出し、ユミラに言った。
「あの天井を修復するってことは考えなかったの? あのままにしておくんじゃなくて、ちゃんと管理するとか」
こうなる前に、あの天井を修復するといった方法はなかったのだろうか。そうすればこんな事故も起きずに済んだのでは、と。
「誰にそんな力があるの? どこに直す機材があるの?」
やはり死亡した者達が事故の直前に言っていたことと同じようなことを言う。
清二がそう言ったところで、やはりあの状況を変えることはできないとでもいうのか。
「でも、なんでせめてあそこの下は危険だって注意しておかなかったの? 気を付けておけばまだ避けられたんじゃないの?」
清二は納得がいかなかった。修復する力がないとしても、危険を避ける為にそこへ近寄らないという発想はなかったのかと。注意するだけでも違ったはずだ。
「どこにいたって、シェルターはあちこちボロボロよ。いつどこであんな状況になってもおかしくないのよ。昨日はたまたまあそこで起きたってだけで」
ユミラの言い分は、シェルター全体のどこでもああなってもおかしくなかったという意味だ。
あの亀裂が入った場所以外でも、いつ崩れるかはわからない。
「言っても同じよ、みんな、もう」と、ユミラは何かを言いかけた。
二人がそう話していると、子供達が事故現場に新しい花束を添えに来た。
子供達は手を合わせる。死者への黙とうなのだろう。
しかし、次に子供達は泣き出した。
「また死んだ人がいた」
「もう嫌だよ、こんな生活。こんな希望が見えないの、もう嫌だ」
子供達は泣きながらそう言う。
シェルターの仲間が死んだのだ、無理もない。 まだ幼い年齢には、絶望的な状況だった。
冷静な大人達と対照的に、子供達はしくしくと泣いていた。
人が亡くなれば、こういった反応が普通だろう。
ここの大人達は、ユミラを含め、仲間が死んだことについて素直に悲しむ様子がないので、ここで人が死ぬことに感心がないのでは? と違和感を持っていたが、子供達はそうではない。
思えば前にランスという子供が死んだ時もだ。泣いていたのは子供達だけだった。
大人達は、ただもくもくとことを進めているだけだった。
違和感を持っていた清二に、ユミラは言った
「子供達は、まだそういうのがわかる年じゃないの」
「そういうの……って?」
そういうのがわかる年ではない、その「そういうの」とはどんな意味だろうか?
彼らは幼いゆえにまだそれが理解できないということなのか。
そして、子供達は次に、こう叫び始めた。
「誰も助けてくれない、どうせみんな死ぬんだ」
「いつかは死ぬんなら、綺麗に死にたい。できれば形も綺麗なまま」
「苦しまないで、楽に逝きたいよ。こんなことを繰り返していくだけなら」
そうやってネガティブな発言を次々と口にする。
清二はその光景に、一瞬違和感を持った。
それはまるで、自分達が死ぬということをわかっているかのような言い方だ。
寿命がわずかな年老いた者がいうのならまだしも、まだまだ寿命が長いであろう子供達がそんなことを言うのは違和感だった。
もちろん人間ならばいつかは死ぬ。しかしこの子供達の言い方では、いつか、というよりももうすぐかのような言い方だ。
泣き叫ぶ子供達の様子を見て、ただ呆然としている清二にユミラが語り掛ける。
「清二、こっちに来て。話をしてあげる」
そう言われて、ユミラに手を引かれて連れ出された。
移住区にある、以前入ったことのあるユミラの住居だ。
清二をテーブルの椅子に座らせ、ユミラは客人への飲み物を出す用意をしていた。それもやはりただの水なわけだが。
準備をするユミラの背中を見つめながら、清二は聞いた。
「さっき、子供達が言ってた「どうせみんな死ぬ」ってどういう意味?」
先ほどの子供達が口走っていた発言。あれはいったいどういう意味なのだろうか。
テーブルに二つのカップを置き、ユミラは向かい側に座った。
そして、真剣な目つきで清二に語り掛けた。
「ここは、みんな長くは生きられない、いずれそのうち死ぬってことがわかってるのよ」
ユミラは冷静に、そう言い放った。
「え……」
清二はその発言に目を丸くした。
突然出てきた「死ぬ」という発言に理解できない。どういうことだろうか。
「みんな長くは生きられないってどういうこと?」
それは年老いて死ぬということなのだろうか? 人はいずれ年をとれば死ぬ。
それならばなぜまだまだ若い年齢である子供達までもがそう言うのか。子供ならば寿命がまだ長いのではないか。
「あの子達も、きっと大人になるまで生きることはできないわね。そして私も」
と、ユミラは真剣な表情で言った。
「ユミラ……も?」
なぜ子供達が大人になれないとわかっているのか。
それはまるで、もう寿命がタイムリミットでも迫っているかのような言い方だ。
しかも子供達が大人になれない、ということはそんなに長くもなく。あと数年なのだろうか。
「なんで? みんな、もうすぐ死んじゃうの?」
今はここの住民達は元気そうには見える。
環境が環境なので住民全員が健康かと言われれば微妙だが、少なくとも病気が重くてすぐに死ぬという形には見えない。
それならば、なぜみんな長く生きられないとわかるのか。
「それはね」
ユミラは、説明を始めた。
「このシェルターはね、もう資源や燃料が足りないのよ」
ユミラは今の住んでいる場所の現状を説明した。それの意味が一瞬わからなかった。
「資源や燃料って?」
「みんなが暮らす為に、ここはいろんな装置が動いて今まで生きてこれたわ。空気を浄化する装置、地下水をくみ出す装置、明かりをともす為の電気エネルギー、昔からここはそうやってシェルター内だけで生活できるようになってた」
清二は過去の自分が作ったであろう、この世界の設定が書かれたノートの内容を思い出した。
「その世界の住民達は地下シェルターに住み、プラントで食料をえている」
「明かりなどのエネルギーはわずかな燃料から、それもいつ尽きるかわからない」
「住民は、常にいつ飢えるか、物資不足で死ぬかに怯えた日々を過ごす」
「この世界にいるということは、いつ人がいなくなるかもわからない」
「食料も十分ではない」「水は地下水を浄化して使用している」
「酸素は地上から取り入れた装置から排出している」
「この世界にいるということは、いつ自分達が滅びるかもわからない」
シェルターについて事細かい設定を作っていた。それはまさに今、ユミラが言った通りのことだ。
これらの設定は、やがてこの世界の住民達の限界を見せている。
だからこそ、この小説は「絶望的な世界を主人公が救う」という形に持っていきたかったためだ。
「それがもう足りなくなっているの」
「あ……」
ユミラはもうすぐせまりくる現実について話し始めた。
「浄化装置も調子が悪い、いつ空気がなくなるかもわからない。地下水も最近は以前よりも少なくなってきた、枯渇が近いかもしれない、とみんな言ってるわ。水がなければプラントの食料も育たなくて、食料も十分に作れなくなった。明かりの電気エネルギーも最近は弱ってきているの」
そういえば最近、このシェルターの通路の照明があちこちチカチカと点滅している箇所があった。それがまさに電気が足りなくなっているという証拠だった。
「先日、天井崩落があったでしょう? あそこみたいに、このシェルターはいつどこが壊れ始めて、もしかしたら全体が潰れるかしれないっても言われてるわ。老朽化も進んでるし、もう修理する材料になる物資も、人も何もかもが足らないの」
生きていく為の資源や燃料がなければいつか死ぬ。それはまさにタイムリミットだ。
「いつ尽きるかわからない」
その意味は、あくまでもユミラ達が生きているよりも未来の事だと思っていた。
しかし、それはもう目前に来ていた
「物資不足で怯える日々」
戦時中のように、物資が手に入らなくなる、しかし住民がいれば作れると思っていた。
だがそれは資源があってこそなのだ。それがなくては人は生きていけない。
「いつ人がいなくなるかわからない」
その意味は、地上がああなっていることで、人がすでにいなくなったからだろう。
つまり、このシェルターそのものに寿命が迫っていると言うことだった。
すでに、その兆候が表れ始めている。地下水も少なくなってきたということは、人間が生きる為に必須である水が枯渇していく。 そうすると水分がなくなっていずれ脱水症状で死ぬ。水がなければ食料も育たない。それでは食糧不足で餓死する。酸素がなくなれば、そのまま息もできずに酸欠になって死ぬ。シェルター内を照らす電灯がなければ、そのまま何もできなくなる。
「じゃあ、子供達が綺麗に死にたいって言ったのは」
清二はようやく理解できてきた。
「どっちにしろ、もうすぐ死ぬってことがわかってるから。シェルターの寿命がくれば、もう私達は終わりよ。作られて長いこのシェルターはいつ崩壊するかもわからない。そうなれば私達は潰されて死ぬわ。もしくは息ができなくなることも、飢えることも、水が飲めなくて喉が渇いてじわじわ苦しみながら死んでいくのが嫌ってことよ」
いずれ死ぬ運命は避けられない。それも先が長くもない。もうすぐ死が迫っている。
ここの住民達は死を覚悟している。いつ死ぬかわからない恐怖にも怯えている。
清二はここの現実を知って、衝撃を受けた。
「ということは……ユミラも、死んじゃうの?」
目の前にいる少女も、いずれ死ぬというのか。清二は信じたくなかった。
「そのうちね」
ユミラは落ち着いた声で答えた。それはもう変えられない運命だと受け入れているかのように。
死ぬとわかっているのだから、好きなことをしていたい。
どうせ生きていても、天に召されるのが早いか遅いかの違いでしかない
「そんなのおかしいよ、死ぬってわかってて生きてるなんて」
死ぬとわかりながら生きている、それは矛盾だと思った。
生きていれば、人は成長していき、進化していき、前へ進めるのではないのか。それがここでは衰退をたどる為に生きているということに。
清二は日本という平和な国で安全で裕福な生活が保障されてるから言える事だった。
「誰が、この状況を変えてくれるっていうの?」
ユミラは厳しい言い方をした。
「このシェルターから出て行って、外へ出るとか。外で生きていく手段を探すとか」
「そう言って、外に行った人はみんな帰ってこなかったわ」
ここを捨てて、外に逃げようにも、外で物資が得られるとは限らない。地上はあの通り、店も自然もなく、人もいない。外がずっと夜なので活動する為の明かりもない。
ここの住民が外へ出て行くとしても、ここにある数少ない物資と食料を持って行っても、恐らく他のシェルターにたどり着くまでに力尽きてしまうだけだろう。
だからここから出て行くという発想もない現に、他の場所を求めて出て行った者達は帰ってこなかったのだから。
かといって、もはやシェルター内の資源や燃料が足りなくなっては何もできない。
このまま大人しく、何もないままに自滅する日々を待つだけだ。
ユミラやここの住民達が、清二のような新しい人物が来ても、危害を加えようとしているかも怪しむこともないのはこの為だったのだろうか。
皆、自分がそのうち死ぬことはわかっている。長く生きることもできないと覚悟しているからこそ、外から誰が来ようと、危害を与えられても殺されてもかまわない。
もし悪意を持った者が来たとしてシェルターを支配したり、破壊しようとしなくても、ここは、どうせそのうち死が待っているだけなのだから。
こうして死ぬ、どちらにせよ、いずれは酸素不足か物資、食料と水不足で死んでしまう。
資源や燃料に限りがあるということはそういうことだ。
死ぬときは恐いはずだ、苦しみながら死ぬのか、恐怖に陥った状態で死ぬのか、ここにいる住民は、誰もがそうわかっていても、長く生きることはできず、いずれ死ぬ運命を受け入れている。誰が助けてくれるというのか? 他の場所から助けが来るかもわからない絶望的な状況で、残り少ない物資を頼りにして、病人が出ても、事故が起きてもこうして日々住民がどんどん減っていく。
この地下シェルターの天井もところどころもろくなっており、いつまたあのように崩れるかわからない。それどころか、このシェルター全体がいつか突然全て潰れる可能性もあるのだ。
(僕が、僕がこんな設定で、この世界を作ったからなのか)
ここは清二が作ろうとした小説の世界であり、彼らはその中の登場人物にすぎなかった。
だからその設定で作られれば、その設定で生きていくしかない。
この世界は清二が話を作ることを投げ出したことにより、外はずっと真っ暗な夜のままで時間が止まってしまった。だからこの状況から前に進むことはできない。
しかし、清二は実際にここの住民と話してみてわかった
いくら作り話の中の世界でも、その中の登場人物である彼ら一人一人にもそこまで生きて来ただけの人生だってあったはずだ。その為に人物設定は作られる。まぎれもなく、ここの生活空間である設定を作ったのは清二自身だ。
自分がこんな設定を作ってしまったからこの世界の住民である彼女達はそんな辛い日々を送ることになってしまった。彼女達はあくまでも清二が作った箱庭の中で生きる、ゲームでいえばNPCのような存在であっても、その年齢になるまでの人生もあった。
彼ら一人一人にも、作られた設定の中でその年齢まで生きていた人生があるのだと。
自分が死ぬまでの人生を怯えながら、恐れながら生きるなんて嫌だ。これではまるで彼らが死ぬためにこの世界は作られたかのようだ。
自分がこの世界を創り出そうとして、彼らの設定を作った。しかしそれがこうして悲惨な運命を背負わされることになった。
今まで小説といったフィクション作品はその中の登場人物をただの道具としか見ていなかった。作者本人もストーリーを作るための道具としか思っておらず、読者もストーリーを盛り上げる為の存在としか認識していない。
しかし、どんな世界でも、人という者がいるのであれば、彼ら一人一人にもそこまで生低kための歴史があるのだ。
人とはどうやって成長していき、どうやって死んでいくのか、それまでの人生が。
登場人物一人一人にも意識があるということは、この世界で実際に来て理解した。
こうしてその世界の中で実際に動いてみれば、彼らはストーリーを動かす為だけの道具ではないと。
作者である自分が作った世界により、その中の登場人物は悲惨な目に遭わされる。
作者にとっても、読者にとっても、登場人物はストーリーを動かす為のコマでしかない。
作者にとっては自分の作ったストーリーを動かす為のコマであり、読者にとってもそれはただの「話の中の登場人物」扱いだ。
清二は今まで、自分が作ったキャラに愛着をもっていなかったのかもしれない、
登場人物達を動かす為で、その話の中の登場人物がどういった想いで生きていたかを考えたことがなかった。
しかし、清二が作ったユートアスラントという世界がこうして形に現れ、その中を動いてみて、人物達と会話をすることで、より深くこの世界を知ることができた。
自分が作ろうとしていた世界観の人物と話すとしたらこんな感じなのだと。
(僕がこの世界を生み出したばっかりに、みんな不幸で、みんなこんな苦しい想いを……)
自分がこの世界観を、設定を作らなければユミラ達は生まれることはなかった。
みんな、清二が自分勝手に作った世界で、清二が話を作るのを投げ出したばかりに、そこから先の未来が作られず、地上の時は止まったままでただ死ぬのを待つのみになってしまった。
自分が作りだした設定で、その話の中の人物達を不幸にしていいのか、そう思う。
「ねえ、ユミ……」
清二が何かを言いかけたところだった、またもや意識が浮上していく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます