第2話 時には筆が乗らない日もある
「おー、今日も閲覧数伸びてる」
PV数を見ると、日々日々数字が増えていくのだ
レビューやコメントも付く
「次の新作楽しみにしてます」
「この話のラストの海の場面、とってもいいですね。まさに二人の愛を感じました」
小説をアップした後は、こうして読者からの反応を見るのが楽しみで仕方ない
閲覧数が上がれば上がる程、それだけの数の人に読んでもらえたということが目で分かり、レビューやコメントが付けば、それだけこの作品が面白いと、評価をしてくれた人がいるといとだ。
「よし、また次の話を考えよう」
こうして清二はまたもやモチベーションがアップし、次の話を考えるのである。
清二はさっそくパソコンのメモ帳をひらいた。
新しい話を考える時はまずはプロットを立てるのだ。
大雑把に「こういう話にしたい」というテーマを決めて、そのテーマに合うような設定と登場人物を考える。
一連のストーリーの流れをざっと書き上げて、今後はそれを形にする
「次のやつはこんなもんかな」
清二は次回更新予定の内容を考える為に、頭の中を動かした。
「でも、最近なんか疲れてきたな」
清二にとっては小説を書くことは確かに生き甲斐だ。
しかし、やはり物語を作るというものは実に大変な作業である。
頭の中でストーリーを考えて、それをどう形にするかも考える。
ストーリーを考えたとしても、それを楽しく読んでもらう為というと、ただ自分が考えたものを形にするだけでなく、読者にもわかるようにきちんと読みやすく構成せねばならない。
そういった話の筋を考えるだけでも大変だ。
さらに、執筆というものも大変である。
パソコンに長時間齧りつき、ひたすら文字を打ち込む。
それも、ただ自分が書きたいものを書くだけではなく、自分以外の他人が読んでも理解できる構成になる文章の形にするもの大変だ。
「こうやって、毎日毎日やってると、時々は疲れてくるなあ」
そうやって時折疲労も感じる。
「さて、今日もやることは済んだし、もう寝よう」
そして寝床に着いた。
それから数日後、清二は自室で頭を抱えていた。
「うーん……」
清二は悩んでいた。
「ダメだ……最近全然アイディアが浮かばない」
清二は今、新しい小説を書きたいとは思っているものの、次はどんな話を書こうかというアイディアが思い浮かばなかった。
「これじゃ次の小説が書けない。困った」
いつもならば次々とどんどん書きたいストーリーが頭に思い浮かぶ。
『こんな話を書きたい』と思えば即座にプロットを立て、コンセプトを決めて、登場人物や
設定を作り、ストーリー本編を執筆していた。
清二はそうやって小説をたくさん書き上げてきた。
そして話を完成させ、それをアップロードする。
それが高校生になってからもずっと生き甲斐だったはずだ。
「今までは順調だったのになあ」
前回の話を完成させてから、次回作がなかなか思い浮かばなくなった。
今までなら次々と浮かんできたアイディアが、今はもう何も浮かばない。
そのまま日数が経過してしまう。
いわゆるスランプというやつだ。
新作を書こうとしてもストーリーやアイディアが思い浮かばない
「ダメだ、次にどんな小説を書こうか全く思いつかない」
あまり間を置いてしまうと、小説投稿サイトの読者が離れていってしまうのではないかという不安になる。
小説とは次々と新しい作品を更新していくことで一定の読者が付き、そして続きを読んでもらえる。
しかし更新しなくなれば、必然と読者は減っていくのである。
そんな焦りや緊張感が漂う。
清二はいつもやっている習慣が、今できなくなっていた。
「ダメだ、いくら考えても思いつかない。今日はもう寝てしまおう」
清二はそう言ってベッドに横になり、布団をかぶった。
いつもだったらノルマといわんばかりに小説を書き上げていい気分で眠ることができるはずの就寝も、最近は心地よいものではなかった。
そうすると、結局「また一日を無駄にした」という気持ちになるのだ。
一日があればどれだけの文字数が書けた。一日があればこんな話を書けたのでは、という気持ちなので一日に何も書けなかった日は「今日も何もできなかった」とあまりいい気分ではない状態で眠りにつくことになる。
そのままさらに数日が過ぎた。
なんとかアイディアを考えようとするも、話が浮かんでこない。
いつも楽しいはずの創作活動が、ここにきて、今は疲れてしまう原因になっていた。
このままではもう今後も小説を書けないのではという焦りもある。
今までは次々と書きたい話が浮かんできたはずだ。しかし今はそれらを書ききってしまった為なのか、それとも脳にアイディアが浮かばないのか、今は何も思いつかなかった。
「そういえば僕って最初はなんで小説書き始めたんだっけ?」
今まで小説を書いていて楽しくてたまらないはずだった。
しかしここに来て、もう疲れ切ってしまっていたのか
初心に帰りたい、原点に戻りたいところだった。
いい気分でないまま、ベッドで横になり、眠りについた。
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