六、隕石・前

「ところであれは何がしたいんだろうね?」

「信念なんかないんでしょうね」

 知り合いとちょっとした世間話程度のつもりで陰口を叩き合っていたところへ、隕石の軌道が大変恐ろしいことになっているとの速報が入った。内心頭を抱えつつ、「まあでもなんだかんだ言っても尊敬してるんですよね。所詮しょせん、わたしたちは手の平の上なんだなって」などと並べて軌道修正した。その日はわたしが漠然ばくぜんと想像しうる限りの天体やら宇宙やらが妙にかわいそうになった。

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