第3話 人気俳優による高校生の悩み相談
「……ということで、『人間観察バラエティー番組モニターズ』で、今日は私立天竜山高校にお邪魔してまーす。
なんと、今日はスペシャルゲストが来ていまーす。
では紹介します、人気絶頂の俳優伊瀬賢人さんでーす!」
進行役のタレントさんがテンポよくコーナーを進めていく。
「よろしくお願いします!」
紹介と同時に、教室に入ってきて軽く挨拶をすると
「「「キャーーーーッ!!!」」」
教室中に生徒たちの歓喜の声が響き渡る。
「ははは、いやー、やっぱり伊瀬くんの人気は凄まじいね。」
「嬉しい限りですね。」
「ルックスに性格の良さ、これは人気がでるってもんだよ、ははは。
じゃあ早速本題に入りますね。
今回のモニターズでは、伊瀬くんには今日1日この天竜山高校で高校生と交流してもらいます!
まず最初はら2年A組の生徒さん達のお悩み相談をしてもらいます!
みんな、準備はいいかなー?」
「「「「「はい!!」」」」」
「では、伊瀬くんよろしくね!」
「はい、任せてください!」
そのまま、伊瀬くんによるお悩み相談が始まった。
「どんな些細なことでも、僕に聞きたいことや相談したいことがある人はいますかー?」
と言うと、クラス中の生徒全員が手を挙げる。
「あはは、そこまでいるとは思わなかったなよ。じゃあ、えーとそこの男の子どうぞ!お名前と相談したいことを。」
と言って伊瀬くんは男性生徒を指名する。
「はい!江藤康介(えとうこうすけ)です。」
江藤康介は、私こと月島唯花の幼なじみであり、2年生ながらバスケ部でレギュラーをしている。
「えっと、伊瀬さんに聞きたいことなんですけど…………」
「うん。」
「伊瀬さんみたいな天才的なものを身につけるためにはどうすればいいですか?
良ければご意見を聞きたくて………」
多分、康介は以前の練習試合で自分よりも身長もセンスも上の人に完敗したことを引きずっているようだった。
康介の事情を何も知らないはずの伊瀬くんは先程までの笑顔がどこか真剣なものに変わり
「………とても難しい質問だね。
それを僕に聞くくらいだから、江藤君にはそれを考えざる負えないくらいのことがあったんだと思う。
まずこれだけは言わせていただきたい。
僕に、世間が褒めたたえてくれる程の才能は一切ないと自負しているよ。」
その言葉に康介も
「それって……謙遜じゃあ」
康介の言葉に、伊瀬くんは、ふふっと笑みをこぼすと、真剣な眼差しを向けて
「僕は、昔はね、運動音痴だし、歌もからっきしダメだったよ。
だからこそ、できないことをできるようにするために努力してきた。
江藤君の言う天性の才能は確かに存在すると思う。
凡人では理解できない領域を持つ超人はいる。スポーツとかならなおさらね。
でもね、そんな才能の差を感じるのはそれこそ本当に日本一や世界一を掛けるような戦いのときだよ。それ以外は自分の出来ることを少しづつ増やして、それを発揮することができれば、その才能を持つ人達とも十分戦えると思うよ。まあ、これはあくまで僕の見解だけどね?」
伊瀬くんの言葉に康介は胸を打たれたような表情を浮かべてお礼を言うと席に座る。
次に指名されたのは、なんと私だった。
「ええっと、相談というか質問はいいですか………?」
と言うと伊瀬くんは
「もちろん、僕が答えれるものなら。」
「伊瀬くんは今お付き合いしている女性はいますか!!」
顔を真っ赤にしながら、爆弾発言を投下する。
それには、伊瀬くんの隣で控えていた進行役のタレントさんが
「あはは、面白いことを聞くねー!
でも、さすがにプライベートなことは……」
と言い切ろうとすると、伊勢くんが制止する。
「大丈夫ですよ。
ええーとさっきの質問の答えだけど、今お付き合いしている人は残念ながらいません。
てことで僕の今の彼女は仕事かな?」
「さ、さすが伊瀬くんだね!
いやー、多分今の一言で安心した人が多くいたんじゃないかなー?」
と、伊瀬くんのコメントをタレントさんが上手く繋げて、いい感じのオチになってくれたようだ。
そこから、時間が許されるまで伊瀬くんは一人一人の発言に耳を傾けて、一生懸命に返事をしていた。
「………はい、カットでーす!
皆さん、お疲れ様です。次の撮影まで少し休憩入れます。」
ディレクターさんの一言で私たちのクラスの撮影が終わった……。
撮影が終わると……、私のもとに、学校に到着した伊瀬くんの隣に立っていた美人な女性が来た。
「えっと、月島さんだったかな。」
と、声をかけると私はそれに驚き顔を向けて
「あ、はい。そうです!」
番組の人に声をかけられたことで嬉しそうにしていたが、声を掛けた女性の方は怪訝な表情をしながら、
「あなたね、もう少し状況を考えてものをいいなさい!
伊瀬くんの女性関係を番組内で聞くなんて失礼にも程があるでしょ!」
ものすごい剣幕に、私は身体を震わして
「………すみませんでした。」
「まったく、伊瀬くんたちが上手く立ち回ったから良かったけど、最悪の場合あなたの方に火の粉が飛ぶ場合もあるんだからね。」
と言うと、そこに当の本人である伊瀬くんと先程のタレントさんが寄ってくる。
「ははは、あそこであんな事を聞くヤツがいるなんて面白いじゃないか!」
と、タレントさんが言うと
「まあ、元からNGはないって説明でしたからね。それに、聞かれて困るようなことではないので、玲奈ももう少し優しくしてあげてね?」
伊瀬くんが玲奈と呼んだ女性は、分かりやすくため息をつくと
「伊瀬くんなんてこの際どうでもいいの!」
その言葉に伊瀬くんも苦笑いしながら
「……酷くない!?」
と言うと玲奈さんも
「はあぁ、あなたのことをテレビで嫌な顔にする人はすごいくらいのバッシングを食らうのよ?
こんな若い女子高生がそんな目にあうのなんて見てられないじゃない。」
「あはは、そんなことないんだけどね……
えっと月島さんだったよね。」
と、伊瀬くんはふと彩月の方に顔を向けて
「………………はい。」
「玲奈は見た感じ怖くて近寄り難い人だけど……」
「余計なお世話よ」
「……まあこんな感じだけどね、君たちが嫌な思いをしないようにこうして細心の注意を払ってくれていることをわかってくれると嬉しいかな。」
「……わかりました。
私の軽率な発言、本当にごめんなさい!」
「あら、今のは伊瀬くんが泣かせたわよ?」
「中々手厳しいな……。まあわかってくれたなら良かった。まだ、撮影する機会はあるかもしれないし、これで涙を拭ってね。」
そう言うと、ポケットからハンカチを渡して私に差し出してくれる。
「………ハンカチなら持って……」
「君に涙を流させてしまったのは僕のミスだから、出来れば君の宝物ではなく僕のでその涙を拭わせて貰いたいんだ。」
その言葉に私は頬を赤らめて
「………あ、はい。」
と言って、そのハンカチを受け取ると頬を流れる涙を丁寧に拭く。
「………伊瀬くんはほんとに天然の女たらしなんだから……。」
玲奈が他の人には聞こえない程小さな声でそう呟く。
「では、そろそろ撮影再開します!
今度は1年生の授業風景ですので移動お願いします!」
「そういうわけだから、伊瀬くんも移動するよ。」
「わかりました。」
と言って素早くスタッフの人たちと一緒に教室を出て行った。
そんな彼に私はちゃんとお礼を言うことも出来ずに………
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いかがでしたか?
次回、物語が急速に変化していきます!
面白い!続きが気になる!と、思ってくださった方は、応援、フォロー、☆☆☆などなどよろしくお願いします!!
では次回お楽しみに!
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