第2話 人気俳優とお話した。

振り返ると、そこには伊瀬くんが私のハンカチを持って立っていた……。


「え………、ええ伊瀬くん!?

私のハンカチ……なんで。」


「えぇーと、さっきここで拾ってね。

もしかしたら持ち主が取りに来るか持って思ってたらちょうど君が来たんだ。」


「えぇっと……その、ありがとうございます!」


伊瀬くんからハンカチを渡されて私はもう何がなんだか分からないままとりあえず感謝を伝える。


「そんなお礼を言われるほどのことでもないから大丈夫だよ。それに大切なハンカチがちゃんと君の手元に戻ってくれたことを僕は嬉しく思う。」


「……なんで、このハンカチが大切なものってわかったんですか?」


確かに、このハンカチは亡くなったおばあちゃんが私のために作ってくれたもので、ずっと私の宝物として愛用しているものだった。


「そのハンカチを見ればわかるよ。

ところどころ使い古された感じはあるのに一切糸が解れたりしていない。

とても丁寧に扱ってる証拠だよ…………って今探偵のドラマしてるからそれっぽいことを言ってみただけなんだけどね……。」


そう言って伊瀬くんは笑みを浮かべる。


「あの、ほんとにこれ私の宝物で……だからその、すっごい感謝してます。

ありがとうございます。」


そう言ってめいいっぱい頭を下げる。


「………そっか、本当に宝物だったのか。

それなら、その宝物を君に届けることができて光栄だよ。」


伊瀬は目の前で頭を下げる女の子の頭を軽く撫でるようにしながら言う。


「さあ、早いところ教室に戻った方がいいよ。」


「……は、はい。では、私はこれで。」


そう言うと、伊瀬が

「うん。あ、あとインタビューする機会があればよろしくね!」


「……こちらこそよろしくお願いします!」


そう言って、私は逃げるように体育館をあとにした。

(もしかしなくても、伊瀬くんに頭撫でてもらったよね…………私今日で本当に人生の運使い切ったかも……)

と思いながら、今までで一番軽い足取りで教室に戻ったのだった。




教室に着いて、彩月が私の方に来る。

「唯花探し物は見つかったの?」


「見つかったよ……?」


「なら、いいんだけど……そんなに頬を緩めてどうかしたの?」


彩月から見たら私の顔はすごいことになっていたみたいだ。


(まあ、仕方ないよね!だってずっとずっとファンだった伊瀬くんから頭なでなでしてもらったんだから!)


私は必死に緩む口元を引き締めながら、先程体育館で会った伊瀬くんのことを彩月に話す。


「えぇぇ!?伊瀬くんと話せたの!?

それに、頭なでなでって……めっちゃ羨ましいよ!!」


「へへっ、私の人生全ての運を使い切ったとしても後悔ないよ。へへへっ」


「そりゃあそうでしょ!」


と、彩月がすぐにツッコミを入れる。






「僕が頭撫でただけでそこまで喜んでくれるなんて、嬉しい限りだよ。」




さっきまじかで聞いた声が私たちの傍から聞こえた。


「「 えっ? 」」


ふと横を見上げると、眩い光を発しているかのような笑顔をうかべた伊瀬くんが私たちの横に立っていた。



それに気づいた教室中の生徒がキャッーと黄色い歓声を上げて喜ぶ。


伊瀬くんはどこか苦笑しつつ

「あはは、そこまで歓声をあげられるとなんだか恥ずかしいものがあるね。


さっきぶりだね、君。」

伊瀬くんは真っ直ぐに私を見つめてそう言う。

「………なんでここに……。」


「さっき、言ったでしょ?

インタビューの時よろしくねって。

それで、入った教室に偶然に君がいたというわけです。」


「………は、はい。」

私の隣にはほとんど白目を向きそうな勢いで彩月が

「……生の伊瀬くんだぁぁ……私、今日死んでも後悔ないよ……」

と言うと、伊瀬くんは


「……そんなこと言わないでね

僕なんかと会うことよりも幸せのことがこれからあるんだから。

これからもしっかりいきてくださいね。」


と言いながら彩月の頭に手を乗せてゆっくりと撫でるように動かす。


「………はい、私生きます!

もう私、これから一生頭洗わないかも……」


「それは、洗った方がいいよ?」

伊瀬くんも冗談混じりに苦笑しつつ返す。


そんなことを話していると、何人かのスタッフが教室に入ってきて、


「えっと、急なんですが学校側からありがたい申し出があり、次の授業の間伊瀬くんに生の高校生の相談に乗る、って感じのコーナーを撮らせていただくことになりました。

伊瀬くん、いけそうか?」


そう言うと、伊瀬くんの先程までのほんわかした笑顔が切り替わる。


「もちろん、大丈夫ですよ。こちらこそよろしくお願いしますね。」



急遽、伊瀬賢人による相談会が幕を開けたのだった。



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いかがでしたか?


今回の物語はひたすら甘い話が続きますのでご注意くださいね!


伊瀬賢人くんは、

作者が思う『かっこいい男』を全て積み込んだ感じの人物です。



面白い!続きが気になる!と思ってくれた方は、応援、フォロー、☆☆☆などなどよろしくお願いします!



今日中にもう1話か2話投稿するつもりですのでよろしくお願いします!

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